雨模様 | ナノ
第16話
どうやら三次試験は団体で臨むものらしい。同じ扉から入ったのになぜかハルとは別れてしまった。入った場所じゃなくてタイミングが関係しているのかもしれない。
ハルって個人戦には強いみたいだけどあのコミュ力じゃ団体行動には向かないよなぁ…オレたちと離れて大丈夫か…?会話に知らないやつが混ざるだけで落ち着かなくなるハルを思い出したら心配になってきた。
「ハルが心配?」
「……そんなに顔に出てた?」
「キルアはハルが大好きなんだね!」
「はあ!!?なんでそうなるんだよ!」
突拍子のないゴンの言葉で顔に熱が集まるのを感じる。好きとか嫌いとかそういうことじゃない。短い時間だけど試験の間ほとんど一緒に過ごしてきたんだし心配するのは当然だろ。
「だってさっきからハルのことばっかりだよ」
「…んなことねーよ」
そうは言ったものの思い返してみればたしかにハルのことばかり話していたかもしれない。
「ゴンは心配じゃねーの?」
「うん!ハルなら大丈夫だよ!」
満面の笑みで大丈夫と言い切るゴンを見ていたら心配しているこっちがおかしいような気がしてきた。
それでもやっぱりハルのことが気になって仕方がなかった。ハルは自分のことを話した上で受け入れてくれた数少ないやつだ。もっと一緒にいたい。そう思うのはオレがあいつのことを好きだから…なのか?
「キルア!手止まってんぞ」
「…っ」
あーーやめやめ!とにかく今は自分が合格することに集中しねーと。残り時間はほんのわずか。全力で臨まないとちょっとやばそうだ。
「タイムアップー!第三次試験通過人数25名!」
オレたちが出口に辿り着いたのとほぼ同じタイミングで試験終了のアナウンスがかかった。あっぶねーー!
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