雨模様 | ナノ
第11話

スシ。全く聞いたことのない名前に首を傾げる。周りを見ればキルアやゴンをはじめとした多くの人が不思議そうな顔をしていた。目の前にライスがたくさん置いてあるけどこれを使うんだろうか。そういえばそろそろお腹が空いてきた。

「ライスだけでつくるのかなー」

「道具とか見ると他にも何か使いそうだぜ」

「(あ、これすごく美味しい…)」

「ハルーー!つまみ食い禁止!その中に入ってるメシ全部使わなきゃ作れない料理かもしんねーだろ」

「…ごめん、つい」

一体スシとはどんな料理なんだろう。素人に作らせるくらいだからそこまで難易度は高くないって思っていいのかな?それともハンターには料理スキルも必要なの?ハンターについてほとんど知らないせいで、この試験の意図もよくわからなかった。

「魚ァ!?お前ここは森ん中だぜ?」

「声がでかい!川とか海とかあるだろーが!」

レオリオとクラピカの大きな話し声がこちらまで聞こえてくる。盗み聞きみたいで悪いけど、どうやらスシという料理を作るには魚が必要みたいだ。私たちは顔を見合わせて、一斉に川を目指して走り出した。

「うわ…ハルの魚不味そー…」

「背ビレなんて見るからに毒ありそうだよね…」

「……」

ゴンとキルアの言う通り、私が掴み取った紫色の魚はお世辞にも美味しそうとは言えなかった。でも獲ってきたからにはきちんと使わないと。

「スシってのはメシを一口サイズの長方形に握ってその上にワサビと魚の切り身をのせるだけのお手軽料理だろーが!」

悩んでいると又しても知らない人の大きな話し声が聞こえてきた。私たちはとても運がいいみたいだ。早速その通りに作ってみるとなんとか形になったので試験官のところに持っていってみた。

「うん、美味しい!あんた良い魚選んだわね!合格…と言いたいところだけどシャリが全然だめ。やり直し」

……シャリってなに?魚が褒められたってことは下のライスのことをシャリっていうのかな?方向性はわからないけど美味しくなるように工夫してみよう。

「悪!おなかいっぱいになっちった」

それからも何度か持っていったのだが、結局誰一人も受からぬ内に試験が終わってしまった。




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