煙草を吸ってゲームを仕掛けるげぇら(消火前)

 なんだかスモーキーな香りがする。そういったら、ゲーラがキョトンとした。煙草を吸っていて、その香りに対する感想をいっただけである。キョトンと私を見たまま、煙草を口に戻す。スーッと煙草越しに煙を吸ってるような感じがした。息をするたび、煙草の煙が鼻から漏れる。その様子を見ていたら、スーッと口から息を吐いてきた。煙も一緒に、下の方の空気を撫でた。でも煙の方が軽いのか、また上へ昇る。それを視線で辿ってたら、急に顎を持ち上げられた。指でクイッと、そのまま煙に割り込んでゲーラが近付いてくる。チュッと唇がくっ付いて、チロッと炎が漏れた。またいつもの供給である。ゲーラからの炎を飲み込み、胃袋に落とす。でもいつもと違って、ゲーラはまだ離れなかった。
「なぁ、ゲームしようぜ。先にイッた方が負けな」
「げーむ」
「イッた方が負けだぜ」
 同じことを二回いったような気がするけど、なんだろう。またゲーラが近付く。苦い。煙草を吸ったばかりか、ゲーラの口がとても苦かった。思わず顔を顰める。今度は炎の供給はない。ただ口を合わせるだけだ。一旦離れて、またくっ付く。くっつく時間が長いから、離れたときに大きく息を吸うしかない。またくっ付く。鼻で息をするけど、煙草の匂いで噎せそう。今吸ったばかりの煙草の匂いがした。髪とか肌から、煙草の匂いが香る。
(んっ、あっ)
 ゆるゆると後ろから頭を掴まれた。そのままクシャッと撫でられて、頭を支えられる。距離を詰めたと思ったら、腰を抱えられた。煙草、どうしたんだろう。消しちゃったのかな? と思い至るよりも先に、ゲーラの舌が入ってくる。ヌルッと口の中を動く。うっ、苦い。タールの味はとても苦い。それを消すかのように、私の舌でゴシゴシし始めた。ゲーラの舌が、私に絡み付く。「んっ、んんぅ」と舌を掴まれる感触に声を漏らしたら、ゲーラも声を漏らした。鼻にかかったような声だ。「んぅ、ふっ」とか息を吐いてる。少し目を開けたら、ゲーラも微かに目を開けているような気がした。伏し目がちだけど、こっちをジッと見ているような気がする。ビクンと背中が跳ねる。(な、に?)不思議に思ったら、チュッとゲーラが離れた。舌が疲れたから、そのまま出してしまう。ゲーラも、舌を出したまま息をしていた。あ、涎垂れてる。舌を戻そうとしたら、服の中に手を入れられている。
「ぅ、あっ、え? な、なに?」
「先にイッた方が、負けな」
「い、意味がわからない。あっ、背中。なんか、ゾクゾクする」
「ちゃんと覚えておけよ。イきそうになったときとか感じてるときは、こうなるからな」
「ま、って。い、んぅ?」
 ちがっ、なんだ。今の声。身体を撫でられているだけだというのに、なんか変。「しっかりと、覚えておけよ」とまた同じことをいう。ゲーラの顔が近付いて、首に顔を埋めてきた。そこを、ちゅううってされる。首に顔を埋められたまま何度もちゅうっとされて、ぐっぐって腰を突き出されて擦られる。なんか変、やっぱり。頭がボーッとしてきたら、ビクビクと膝が震え始めた。
「あっ。うっ、んっ。あぁ」
「ふぅ」
 と満足したようにゲーラが離れる。首がひんやりとした。腰も離れる。なんか、ジワジワと溜められたものが今になって、一瞬だけ解放されたような気がした。ゲーラの手も服から出ていく。両手で私の顔を包むと、チュッとキスをしてきた。炎はない。ただ、口を合わせただけのものだ。
「今回は、俺の勝ちだな」
「か、ち」
「俺の勝ちだぜ」
 そう重ねて、ゲーラはまた口をくっ付けた。ちゅっちゅっ、と何度もキスをする。(たばこ、どうしたんだろう)今さら、その疑問がまた湧いて出てきた。


<< top >>
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -