ゲームを仕掛けたかっためいす(消火前)

 なんだかチョコレートの匂いがする。と煙を指差したら、メイスがニヤッと笑った。「正解だ」なんていって、ポンッと頭を撫でてくる。くしゃくしゃに撫でてくるものだから、黙って受け取った。また煙草を口に戻す。どこから取ってきたんだろう。それ。「味がする?」と尋ねたら「少しな」と返された。苦いんだろうか? でも興味がある。ジーっと見ていたら、メイスが煙草を離した。フーッと息を吐くと、煙草の煙も一緒に上へ伸びる。空気の方が広いからか、高く昇ると離散していった。上に行けば行くほど、姿が見えなくなる。グリグリ、とまだ半分は残ってる煙草をメイスは潰した。(もったいない)ただでさえ貴重なのに。そう思ってたら、ズイッとメイスが近付いてきた。もしかして、また? ニヤッと笑う顔にビックリしていると、口が合う寸前で止まる。ピチャっと、自分の唇が音を立てた。
「なぁ、ゲームをしてみないか?」
「げ、ぇむ?」
「あぁ、こう互いに口を近付けて」
 トン、とメイスが私の顎を指で叩く。
「キスしなかった方が勝ちだ」
「きす? きす」
「あぁ」
 その意味を確かめさせるかのように、メイスが口をくっ付けてくる。苦い、の中にほのかに甘い。チョコレートの味がした。なんか、唇をスライドさせるようにして、またくっ付く。もう一往復あるかなと見せかけて、メイスが離れた。
「こういうことだ」
「こういうこと?」
「あぁ」
「炎を分け与えるんじゃなくて?」
 そういうことかと思ったら、「あぁ」とメイスが頷いた。私の気持ちに対してじゃない。私のした質問に対してだ。「そういうのじゃない」と炎のことを横へ追いやられた。ふにふにと唇を触られる。親指で押したり触ったり、色々だ。メイスも神妙な顔をしている。親指で唇を軽く開けて、歯に触る。それを見ていたら、メイスの指が離れた。顎を持ち上げられる。スーッと近付くものだから待ったら、止まった。メイスがくっ付いてこない。目を開けると、薄く目を開けていることに気付く。メイスも目を閉じてなかった。少し離れたものだから、少しだけ背伸びをした。
「ほら、ほしいだろう? ほしかったら、自分で近付くことだな」
「げーむ、は?」
「あー」
 メイスの視線が泳ぐ。もしかして、げーむ自体がまだ始まっていなかったのだろうか? 首を傾げる。メイスの指があるから、上手く動かせない。こっちに視線を戻すと、口を開いた。
「また、今度だな」
 そういって口を合わせてくる。今度は炎も渡してきた。それを飲み込む。チロチロと炎を吸い込みながら、メイスの行動に付き合った。


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