エボルブルス

 エボルブルスの花は育てやすい。日の当たるところに置いて、一日水を一回やるだけ。それだけで手入れは済む。ラピズラズリのように青い小振りな花は、なにも私が買ってきたわけじゃない。ゲーラとメイスが買ってきて、それを勝手に置いていっただけの話だ。でも、ウィンドウボックスを飾る分には充分だ。
(白い花の方が最高なんだけど)
 差し色の白もあれば、青色は映える。もっといえばピンクや黄色の花だって映える。けれども結局貰ったのだ。育たなければ意味がないだろう。
 調べれば、寄せ植えにも使えるのだと聞く。
(今度、大きな植木鉢を買おう)
 ついでに土も買って、ウィンドウボックスに収まるくらいの大きさで。そう思ったら来客がくる。
「おう、枯らしてねぇか」
「追加の分を持ってきたぞ」
「花屋じゃないんだけどなぁ」
 ゲーラとメイスである。その手には新しく肥料と本と植木鉢を手にしている。
 ちょうど私の思ってた白い花を持ってきたが、なんか違う。妙に肉付きが良い。
「この前ボヤいてただろ」
「確かにいったのはいったけどさぁ」
「文句をいうな。ついでに土産物だ」
「これ、図書館のだ」
「あぁ、借りた。だから期日までに返せよ」
「突き返されちゃう」
「だから俺にだ」
 そう返されると、二の句も継げない。パラパラと中身を見る。エボルブルスの増やし方について書いてあった。
(だから思ったより草が多いんだ)
 花の先端を切って蕾を増やそう。そう思ってたら、ゲーラがジョウロを持っていた。
「もうやった」
「コイツがまだなんだよ」
「ゲーラ、やりすぎると死ぬらしいぞ」
「マジか」
「枯れるね。根腐れするのかな」
 それにしても、食べれない花を持ってくるとはどういうことなんだろう。そんなことを思いながら、鉢植えを並べる二人の姿を眺めた。


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