過ぎ去った火

 プロメアの炎が消えてからというものの、なにかと不便だった。特に、バーニッシュとして力の強い者だと特に。ゲーラは気合を入れるときに大きな雄叫びを上げるけど、重いものは動かない。メイスは興奮が達したときに「ふっほほーい!」なんて声を上げるけど、直後キョトンとした顔になる。ボスは、高いところへ飛ぼうとしてその場でジャンプしたりと、様々だ。私も私で、大変だったりする。一番痛かったのは、バイクを出そうとしてジャンプしたときだ。完全に座る体勢であったから、受け身を取るのに失敗した。あれはとても痛い。できればもう二度と味わいたくもない。コリゴリだ。そして今は、目の前の大荷物に悩まされている。
「どうします?」
「いや、どうするっていわれてもな」
「俺ら三人で力を合わせりゃ、行けると思いますぜ? どうしますか、ボス」
「いや、できるか? お前がバーニッシュアーマーを着るかボスが炎を出すかなら別だろうが」
「筋肉量が足りない?」
「そういうことになるだろうな」
「クッ! 俺にもっと力がありゃぁ!!」
「そういうな、ゲーラ。それをいったら、僕もだ」
「というか、この場にいる全員がだよね」
「あぁ。問題は、この箪笥をどう移動させるかがだが」
 なにせ、距離が遠い。とメイスが難しい顔をして呟く。確かに、三人で運ぶにしても骨が折れる。ここに、ムキムキマッチョの人が楽なんだけど。
「誰か呼ぶ? バーニングレスキューの誰か」
「いや、バーニッシュだった皆の中に、恰幅のいいヤツがいたはずだ」
「ボス! そいつらに頼らずとも、俺がなんとかしますさぁ!!」
「梃子とか物理的な原理を頼れば、いけるはずです!」
「そ、そうか。なら任せたいところだが、材料が要るんじゃないのか?」
「うっ」
「その通りになりますが、まぁ手持ちのものでなんとかしますよ」
「本当か? ただでさえ、懐が厳しいのに?」
「うっ」
「やっぱり呼ぼうよ」
 専用の通信機はあるし、といったら二人が黙った。


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