ゲームプレイ(消火後)

 牛乳を自分のマグカップに入れて、温める前に砂糖を入れる。ゲーラがレッドで、メイスが瑠璃色のラピス、ボスは髪の輝きからレモングラスに近いかもってことで黄緑色のレモングラス色だけど、たまに私の橙色のダフォディル色と間違える。聞いたところによると、昔から続くベストセラーの食器らしい。プレミアムカラーのフラミンゴとピーコックの方が二人の炎の色に近かったけど、高くて諦めた。なので皿とのセットは諦めて、万能に使える白い皿とプレートの類を買った。そうこうしているうちに、電子レンジが牛乳を温め終える。それを取り出して、ココアの粉を投入。グルグルと掻き混ぜてミルクチョコレート色に染めたら、マシュマロでカップの口を埋めた。これでオヤツ兼飲み物の完成である。これを持って、リビングに戻る。最近買ったゲーム機に、インターネットの無線に繋いで購入したソフト。操作に悪戦苦闘するゲーラと、プレイ画面を眺めているメイスがいた。他の場所に座ると文句をいわれるので、いつも通り二人の間に座る。ちょうどその分の隙間が空いていて、ピッタリ収まることができた。座り終えると、メイスが凭れかかってくる。ちょっと人を、肘掛けやクッションの代わりにしないでほしい。ゲーラがShit!≠ニ口に出した。
「クソッ!! 上手く行かねぇ」
「先に救出したのが駄目なんじゃないのか? エリアをやり直したらどうだ?」
「そうするか、チッ。簡単に救出できるほど、気を付けなきゃならねぇってか」
「そう思う。うぇ、なにこれぇ。甘すぎる」
「虫歯になりそう、ってか」
「うん。一気に水分を持ってかれそう」
「と、いうらしい。脳に糖分を補給したらどうだ? ゲーラ」
「そこまで行き詰まってねぇよ! とりあえず、エリアをやり直して」
「初めてプレイするし操作にも慣れないから、仕方ないよね」
「これが配信じゃなくて良かったな、ゲーラ。あのままだと救出した子どもを連れたまま残りのエリアを散策する破目になってたぞ」
「知ってるわッ! くそっ、第一ボタンが多すぎンだよ!! 十字キーと○△□×とLとR、多くてLRとLLボタンだけにしとけってんだ」
「それが今、握ってるコントローラーだろう」
「キーボード操作のことじゃない? 両手で操作した分が染みついてるもん」
「おうよ。あとは慣れ方だが、チッ。灯りが足りねぇ」
「だが、二ドルで買った割にはボリュームがあるな」
「クソゲーじゃないもんね」
「おい、ななし。その言葉、いったいどこで覚え、あっ」
「わぁ。音立てて気付れた」
「これは、どこかへ隠れるべきだろう」
「いわれなくてもわかってらぁ! あっ、クソ! この野郎!!」
「間に合わなかった」
「だな。善戦を強いられている」
「クソッ! あぁ!! 弾がッ! 弾がねぇ! 近接距離武器! クソッ!! しまった!」
「ゲームオーバーの画面だ」
「ふむ。九割強も値下げされていたのは、この難易度とグラフィックによるものだろう」
「律儀に評価してんじゃねぇ!! はーっ、上手く行かねぇ。交替だ、交替」
「今、ちょっと飲んでるから無理」
「なら俺だな。チュートリアルだと、死なない仕様なのか?」
「知らね。体力ゲージもなかったし」
 そういって、ゲーラが背凭れに全身を預ける。ダラン、と床に両足を放り投げた。セーブした地点から、メイスが再開する。「とりあえず、手慣らししないとな」「弾は有限だぜ? エリア内でセーブできねぇのはキツイ」「リアリティを求めるのも大事だろう」「私もそう思う」ズッ、とマシュマロで歯が蕩けるほど痛甘いココアを飲んだ。


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