ある日のバレス(消火後)

 ガロが飲んでいるプロテインの味を発見する。(そういえば、ボスも一緒に飲んでいたような気が)とりあえず横にいたガロに尋ねてみた。「これ、飲んでみていい?」「ん? 気になるのか? いいぜ!」ニカッと笑って答えるので、お言葉に甘える。(プロテイン自体に味があるから)小さじ一杯程度でいいや。ほんのちょっとだけ掬って、ホットミルクの中に入れた。「えっ。それだけでいいのか? もっとドバっと入れるもんだぜ? 普通」「いいの」強制的にプロテインの正しい量を入れてきそうなので、咄嗟に断る。「本当かぁ?」疑わしいガロの目に構わず、キッチンを出た。バーニングレスキュー、只今休憩中である。緊急アラームも鳴らず、街は至って平和だ。(警官は、出そうだけど)なにも事故や火災が起きていないのなら、と各々みんな仕事をしたり寛いでいたりする。ルチアに至っては、メンテナンスの傍らにゲームだ。副隊長は報告とか作ったり確認したりしていて、その傍らに休憩。バリスはバスケで、アイナはベッドで寛いで音楽を聴いていた。隊長は、自分の車のメンテナンスである。ボスとゲーラとメイスは、ソファにいた。「こことか、どうです?」「うーん」「こことかもいいかと」なにやら画面を見て、指差していた。そこに近付く。
「なにかあるの?」
「あぁ、ななし。実はな」
「おっ、ちょうどいいところに来たな」
「ナイスタイミングだ、お前も見ろ」
 そういってゲーラがソファの端に寄り、メイスもソファの端に寄る。「四人で座れたか?」と副隊長が最もなツッコミを入れた。ボスも呆れている。椅子を探すけど、どこにもない。ソファの背凭れに寄り掛かる。
「ここでいいや」
「はぁ? そこにいられると困るんだよ! ボスにかかったらどうする!! ボスに!」
「おい。ゲーラ。僕はそれを避けられないとでも思っているのか?」
「ボス、不意の事故に気を付けることは基本中の基本です」
「いきなり安全確保の講習を始めるのは、やめてくれないか? メイス」
「落とさないよ」
「一ミリたりとでも落とす可能性がある以上、安心できねぇよ。ほれ、譲ってやるから座れ」
「俺も立つとするか」
「結局僕一人が座ることとなるのか?」
「ななしも座りますぜ」
「独占したいのなら、どうぞお好きに」
「僕だって譲渡の精神はあるぞ。ほら」
 そうボスが横にスライドしたので、私も座った。ゲーラとメイスがそれぞれ、両端から画面を覗き込むこととなる。その画面を持つのは、ボスだ。タブレットには、英語の言語で異国の風景が載せられている。恐らく、観光サイトだろうか?
「他にも探したんだが、僕たちが読めるのは少なくてな」
「恐らく、この企業だと英語に対応しているということなんでしょう」
「英語を話せる奴らは少ねぇらしいですぜ。まっ、こういうところが客を独占するんでしょうぜ」
「僕たち外国客を、か」
「話通じないだけでも、ストレスが溜まるからね」
「あ?」
「つまり、日常的に感じていると?」
「えっ?」
「ただの一般論だろ。それで、もし旅行に行けるとしたらって話してたんだが」
「へぇ」
「ん? 長期旅行に行くつもりか? やめとけ、やめとけ。ウチじゃぁバカンスだなんて長期的なモンは無理だぜ」
「むっ。じゃぁ、ハネムーンとかはどうするんだ? そういうとき、絶対長期的に休みを取るだろう」
「それだったら、夏季休務を狙って式を挙げたりしているな。半日単位でバラバラに取れるし、それで全員の調整をかける。既に他の隊での前例も有りだ」
「へぇ」
「っつても、ウチじゃ取る方が少ないけどねぇ。あるとしたら、隊長じゃない?」
「ん? あぁ、どうしても抜けなきゃいけないときがあるからな。長期休暇がほしい場合は、事前にいってくれ。調整をかけるからな」
「ふーん」
「なるほど」
「休みがないものばかりと思ってたな」
「私も」
 そういう説明、事前にあったっけ? 頷いたゲーラとメイスを見ると、なんか二人とも考え込んでいるようだった。
 ホットミルクを一口飲む。(うぇ、プロテインが、結構甘い)今度、自分用の砂糖を買っておこう。少し、そう思った。


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