ゾンビ大国(消火後)

「そういえば」
 ポップコーンを片手で抓みながら、ななしがいう。
「もし大量のゾンビに襲われたら、どうする?」
 ──アメリカ社会でよくあるテーマだ。原住民を追い出して土地を支配して以来、移民の血に根付いたテーマでもある──。散々フィクションやパロディもので使い古されたネタを振られて、ゲーラとメイスは考え込んだ。
 テレビの中で、大量のゾンビが塀を叩く。
「プロメアの力が使えない、って前提で」
「チッ! 難易度が一気に上がったぜ」
「バーニッシュアーマーを纏えば、噛みつかれることはないからな。それに、一気に焼ける」
「便利だよね。でも、それができなかったら?」
「今の生身と同じってことだろ?」
「だとすると、デパートかホームセンターに立て籠もりだな。一番はデパートだ」
「前の映画だと、なんか脱出してたよ?」
「食料も尽きるわバリケードもいつまで保つかわかんねぇ状況だったからだろ。バーニッシュ、いや、人間希望を持ちゃぁ、無謀な賭けにも出るモンよ」
「幸い、トラックと改造できるパーツが揃っていたからな。その分もある」
「で、島まで逃げたらゾンビパニック」
「救えねぇ最後だったよなぁ、アレ」
「それに影響を受けてか不満を思って作られたのが、アレだ」
「どっちかっていうと、人間の方が怖い」
「ゾンビも慣れると、軍事利用されるからなぁ」
「俺たちバーニッシュもエンジンに利用──いや、ブラックジョークすぎるから止めるか」
「笑えねぇよ」
「それ、他の人だったらキレそう」
「その通りだな。不愉快に感じる元バーニッシュもいる」
「っつーか、人権問題に発展すンだろ。その発言はよ」
「実際、裁判を起こした例もあるからな。結果、バーニッシュ側の勝利だ」
「ほう」
「精神的瑕疵ということで、慰謝料をたんまりと貰えたらしい」
「そしょうたいこく!」
「訴訟大国、な」
「実際、そういうビジネスもあるらしいからな。ふむ。俺たちも始めるか?」
「やめとけ、やめとけ。失敗したときのリスクがデカすぎンだろ」
「残念」
「まぁ、実際に始めるとしたら当たり屋みたいなものだからな。使えなくなると次のネタを探す必要がある。不毛か」
「そういうこった」
「それで、ゾンビに囲まれたらどうするの?」
「チェーンソー」
「火炎放射器」
「後ろから噛まれない? 燃料尽きない?」
「馬ぁ鹿。そのために車にトゲトゲとかを付けるんだよ!」
「だから一ヶ所に集めて一気に閉じ込めて燃やすんだ。結構、スリルだぞ」
「実際にやったことあるの?」
「ねぇよ」
「ゲームで体験できるらしいぞ。その手のゲームがあった」
「へぇ。今度してみようかな」
「チーム戦をしようぜ」
「いいな」
「調べればあるかな?」
 ゾンビの仮定が終わり、実在するゲームの話に移る。テレビの中では、ダムが決壊したようにゾンビが流れ込んできた。
 阿鼻叫喚な光景が流れる。それを余所に、三人はオンラインでできるゲームを探した。


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