土地探し

 とりあえず、我々の住み家となる場所を探そう──。ということで、朝になるなりバイクを走らせた。ゲーラが思う街というものは、広い場所にあるのらしく、
「リーダー! あそこはどうですかぃ!?」
 と、朽ちた町並みの残骸を指差していった。それにリオは首を振って、
「ダメだ。敵に見つかりやすい」
 と断った。それにゲーラは少し落ち込む。じゃぁ、隠れられる場所がいいんだと。そう察したメイスは次の場所を指差して、
「ならばあそこはどうだ!? 敵に見つかりにくいと思うが」
「ダメだ。地盤が緩い場所に当たると僕たちが生き埋めになる可能性がある。最悪、山ごと破壊しなければならなくなる」
「そうか……」
 洞窟のある方を指したメイスは落ち込む。山の中にある穴はダメ、平地にあるのもダメ。じゃぁどこがいいんだろう。そう思いながら荒野を走り続けていると、火山地帯に近いところへ出た。
「そういえば、ここまで来たことなかったなぁ」
「は?」
「この辺り」
「そういえば、ずっと前からマグマの活動が活発だったな。ここ」
「あー、だからガキは危ねぇから近付くなっていわれてたとこか」
「そうそう。誤って火山に落ちると危ないし。あっ」
「あ?」
「いや、またあの残骸あるなぁと思って」
 そう話してたら、突然リオが止まった。ブォンと強い音を出している。それに合わせて私たちも止まった。バイクのエンジンは吹かしたままだけど。
「それ、本当か?」
「へ?」
「なにがですかぃ」
「マグマの話だ。それで、火山の活動が活発だとか」
「あぁ、三十年ほど前からずっと、噴火しそうでしないような、微妙な状態が続いている」
「しかし燃え滾ってることに変わりはねぇ! あの辺りに行くと、妙に元気が出るんだよなぁ」
「バーニッシュの七不思議。噴火口の近くに行くとさらに元気になる」
「ヤバかったよな、アレ」
「あぁ。マグマがこっちへ飛びかけたしな」
 そんな話をしてるけど、リオは一向に口を開かない。
「リオ?」
「どうしたんでぃ、リーダー」
「なにか考えことか?」
「あぁ」
 リオがようやく口を開く。
「少し、あの火山を調査してみようと思う。お前たちはこの辺りを調査してくれ」
「へぃ」
「はぁ。だが役に立たないものを見つけるかもしれないぜ?」
「構わない。お前たちが些細に思う発見でも、もしかしたらとんでもない発見に繋がるんだ」
「はぁ」
「そういうもんですかねぇ」
「とりあえず、街や住み家に役立つものを探せばいいんですよね?」
「そういうことだ。頼んだぞ」
 そういって、リオは一人、火山の方に向かった。残るは昔からいるマッドバーニッシュの面々だけだ。
「どうするよ」
「とりあえず、別行動で分担してやった方が速いと思う」
「そうか。で、誰が何を担当する」
「……なにが必要だっけ?」
「知らん。メイス」
「とりあえず水と食料。それと住み家だ」
「よーし、お前ら! とりあえずいつもの探索だ!」
「おーっ!!」
 ゲーラの統率力、変わらず。皆が散らばったのを見て、私も目に付いたところへ走ろうとした。
「お前はどこに行くんだよ」
「あそこ」
「迷子になるなよ」
「はいはい」
 一番目立つオブジェを指差したあと、高架の残骸へ向かった。


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