年始間近(消火後)

 年末の大掃除で一番ベストなのが、日頃から掃除をしておくことらしい。普段掃除のできないところも含めて、だ。けれど窓を自由に開け閉めすることも難しいこのご時世だから、思ったように掃除もできない。気になるところだけ、ちょちょいと。今年の大掃除は、それだけで終わった。
「ニューイヤーカードって、どうする? 出す?」
「出せねぇだろ。適当に送っとけ」
「ある地域だと、年明けの言葉で回線が落ちるらしいな。まぁ、出せんことに変わりはないが」
「出れねぇからなぁ」
「あまり外に出ないというのに、よく耐えられているよね」
「おう。こいつのおかげでな」
「ネットとゲームの力は偉大ってわけだ」
「お金もね」
 実際、お金がなければ外へ放り出されていただろう。年末といえば冬。冬といえば寒い。バーニッシュでない今、着の身着のまま放り出されるとヤバい。低体温は敵だ。(色々と、考えることがあるなぁ)と思いつつ、カレンダーを捲った。
「カウントダウンって、いつ頃だっけ?」
「あ? 三一日のギリギリにならねぇと始まらねぇぞ」
「いくらなんでも、十二時を切ったときに始まるわけじゃないからな?」
「そうなんだ」
「そっちで考えてたのかよ」
「いや、電光掲示板? ってのでカウントしてあるのを見かけたこと、あるから」
「あぁ。それは音声を入れてないだろう? 音声入りは三十秒前からだ」
「そうなの」
「正確にいやぁ、でっけー画面に映し出されてから、一〇秒切ったら観客全員でカウントする、だな」
「盛り上がるなぁ」
「視聴率も上がるぞ。一大イベントだからな」
「つっても、今年はなさそうだけどな」
 そういって、ゲーラがゲームに戻る。なにかのタイムアタックに挑戦しているのらしい。「あー、くそ」と悔しがっていた。メイスは、インターネットで色々と見ているようである。私は他に、ちょっとやることが見つからないから、年末放送のラインナップを眺めることにした。


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