病人に告白タイム

 元々、ゲーラは病弱だったのらしい。少し気を抜くと、体調が悪化することがあるそうだ。そして看病をした私は、風邪が移った。
「うぅ。体が少し怠い」
「ワリィ。道理で、いつもより早いわけだ」
「抗体持ちの今、ゲーラが看ても問題はないだろうな。精々他には移すなよ、ななし」
 ついでにメイスからは釘を刺される。確かに、人から人へ移ると、ウィルスの耐性が上がるのらしい。それは、ちょっと困る。ゴロンと寝転がる。風邪を引いたら、寝るのに限る。
「なぁ、暇じゃねぇか」
「寝るしかない」
「そりゃぁ、そうだけどよ」
 ならなんだ。そう思ったら、スルリと空気が入り込む。痩せて骨ばった手が、私の手を掴んだ。恐る恐る、布団の外から引き出す。
「暇じゃね?」
 だからなんだ。そう問いかける気力もなく、ゲーラの好きにさせる。人の指を触ったり、絡めたりする。それからギュッと私の手を握ると、私の顔へ視線を移した。
「なぁ、好きだぜ」
「それ、魘されてるときもいってた」
「そ、そりゃぁ。その、アレだ、アレ」
 ごにょごにょ、とゲーラの口が籠る。なんか、なにかをいっているようだが、なにをいっているのかがわからない。ゴロンと寝返りを打つと、握るゲーラの手が引っ張ってくる。体を傾けると、顔を赤くするゲーラが視線を泳がせていた。
(なんだ、これ)
 わからなくて口を開けたら、声をかけるよりも先に扉が開く。病人食を持ってきたメイスだ。ゲーラの様子を見ると、ベッドサイドに食事を置く。
「お邪魔だったか?」
「うぅん。寧ろ、飲みたい」
「ほらよ」
 ペットボトルを手渡しされる。ゆっくりと起き上がって受け取ろうとしたら、先にゲーラが取った。無言で私に渡す。なんのバケツリレーだ。
「えっと、ありがとう?」
 そうと声をかければ「おう」とだけ返った。一口飲む。新鮮で冷たい水は、スーッと体に染み渡る。『好きだぜ』と告げた言葉の意味を考えたが、いったい、どういうことだろう。寧ろなぜ、このときに告げたのだろうか? そう考えてると、ポンっとゲーラの肩をメイスが叩く。
「振られたのか?」
「ふっ、振られてねぇよ!!」
 まだな!! と真っ赤にして叫ぶゲーラが見れた。


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