掃除乱入さなげやま(在学中)

「先輩って、人望あるけど指導は下手ですよね」
 あ? なんだって? 思わず千芳を見るが、素知らぬ顔で掃除を続けてやがる。なんだ、俺が来て邪魔だっていうのか? ジッと睨んでいたら、千芳が俺に気付く。わざわざ俺の顔を見て、溜息を吐きやがった。吐くな! もう少し突っ込んでやろうとしたら、千芳が話し出す。
「そういえば、北関東番長連合の。あれ、どうなってるんですか? 順調で?」
「おっ、お前には関係ねぇだろ」
「皐月様の戦力に考えている以上、こっちだって気になるんですよ」
「それ」
 いや、ねぇよな?
「他のヤツらにはいってねぇだろうな?」
「秘密にしたがっている以上、いいませんよ。まぁ、効率性を考えたら。でも、それだと独立して動いている意味がないし。時機がくるまでいいませんよ」
「時機ってなんだ。時機って」
「先輩が言い出した時機ですね」
 っつーと、俺がいうまで口に出さないってことか。ヘヘッ、意外と義理堅いじゃねぇか。
「あっ」
「なんですか」
「そういえば、お前。アイツらよりも俺といることが多いよな? それ、なんでだよ」
 もしかして、俺のことが好きだからって理由か? 困るぜ、そういうのは。ちょっと、今は気持ちの整理ってもんがな。緊張しすぎて心臓がドクドクいっててヤベェ。バレてねぇだろうな? チラッと千芳を見る。俺の予想を裏切って、すげぇ顔になってた。どこにそこまで呆れた要素があるんだよ、オイ。しかも溜息を吐くな!! 口を開いたら千芳が呆れた顔で俺の前に手を出した。あっ、近ぇ。
「考えなしに行動することが多いので。ちょっと不安なんですよ」
「オイ」
「向こう見ずで頭に血が上りやすいし」
「おい!? おまっ、一応、俺の方が上なんだぞ? オイ」
「そう声を震わせなくてもわかりますよ。要は、監視の目が多いってことですよ」
「監視って、オイ」
 そうじゃねぇだろ。監視じゃなくて、もっとこう。話が途中だってぇのに、千芳が掃除を続ける。普通、他のヤツにやらせれば──いや、犬牟田さんみたいに機密情報があるのか? だとしたら、他のヤツには任せられねぇな。(うん?)だとしたら、なんで俺は入れてるんだ? 生徒会四天王の立場だからか、それとも俺に特別な意識を持っているから、ってところか? フッ。後者だとしたら照れちまうぜ。鼻を擦っていると、千芳が迷惑そうに俺を見ていることに気付いた。
「邪魔」
「んな邪見に扱うこたぁ、ねぇだろ。で、なんで急に片付けてんだ?」
「皐月様から新しく指令が入ったので。というか、先輩こそ。どうしてここに?」
「サボり。休憩だよ、きゅーけい」
「ちゃんとやってください」
 ケッ、わぁかってらぁ。(外の光が入らない分、眠るには持ってこいなんだよな。ここ)まぁ、その理由は推して量るべしだが。千芳の仮眠室を借りる。(あんま、使ってねぇのか?)そう思いつつ、足りねぇ睡眠時間を一旦補充した。相変わらず、千芳の片付ける音だけが聞こえる。(皐月様の、ねぇ)俺たち四天王にいわない以上、なにかがあるんだろう。深く首を突っ込まず、一旦寝ることにした。


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