勝手に着て寛ぐ(在学中)

 とても疲れた。足がパンパンだ。特に足の裏が辛い。(靴、合わなかったのかな)それも一理ある。けれど疲れが強すぎて、シャワーを浴びる気にもならない。のろのろと先輩の部屋に入る。ちょうど服を脱ぎ捨ててあった。(そういえば、早く服を脱ぎたいし)ちょうどいいのかもしれない。私も着ているものを脱いで、先輩の脱いだ服を部屋着代わりにした。ブカブカである。だが予想通りである。ゴロンと先輩のベッドに寝転がり、ポチポチとタブレットを触る。確認できていない情報を頭に入れていると、先輩がシャワーから出てきた。半裸である。下になにかを着ているのが、幸いか。
「あっ!! 手前ぇ、なにしてやがる!?」
 そう私の姿を見るなり、指を差してきた。ギョッと驚いているようだが、それをいうなら先輩の方である。「服を脱ぎっぱなしにしている方が、悪いんですよ」とだけ返しておいた。疲れた足を、上と下へ動かしてみる。やはり重い。お風呂上がりの先輩の目が痛い。ギッと睨みつける視線を流し続けていると、ベッドの端に重さがかかった。その違和感を見ると、先輩である。先輩がベッドの端に座っていた。相変わらず上半身は裸のままで、肩にタオルを垂らしている。不満たらたらに私を見ては、口を開いた。
「目に毒だろ」
「毒ですかね」
「あー、毒だとも。手前ぇが自覚ないだけでな」
「でしたら、先に予防策を打っておくことをオススメしますね。服を脱ぎ散らかさないとか」
「上手いこといってんじゃねぇよ」
「はてさて」
 どちらにせよ、直す気はなさそうだ。もう一度足を上と下に動かす。脹脛がパンパンだ。足の裏も、まだ痛い。フワッとマットレスの重力がまた歪む。今度は、先輩が肩の横に手を衝いてきた。膝の重心もかかったのか、それに従ってマットレスが沈む。
「パンツ見えてんぞ」
「エッチ」
「煽ってんのは手前ぇだろ」
「そういう自覚はないので、すみませんね」
 謝りつつ、腰の方へ捲れた裾をお尻の方へ伸ばした。ゴクリ、と先輩の喉仏が動く。ちょっと。どうしてそこで生唾を飲んだの?
「変態」
「なっ!? てっ、手前ぇの方が変だろ!?」
「変じゃありませんー。すごい言い様ですね」
「お前が変なことをしてくるからだろうが! クソッ」
「先輩が変に思えるだけ、なんじゃ?」
「はぁ、あのなぁ」
 大きく肩を落として、大きく天を向く。酷く脱力すると、先輩がのろのろと覆い被さった。足がパンパンに疲れているだけで、それ以外は別に症状はない。腰から上に凭れかかる先輩の好きにさせた。顎に肩を乗せてくる。
「好きな女の、んな姿を見て。どうにかならねぇ男はいねぇだろ」
「そう。頑張ってください。耐えるのも修行の内ですよ」
「冷てぇなぁ。それをいったら、お前もだぜ?」
「今はちょっと、確認するので忙しいから」
「なら、終わったら相手になるってことだな?」
(むっ)
 言質を取るな。そう言いたかったけど、なんか拗れそうなので、そのままにしておいた。


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