意味のない会話(在学2〜3年)

「もし無人島で、なにも持たず放り出されたらどうします? しかも一ヶ月サバイバル」
「あ?」
 セックスした高揚感に浸ってるっつーときに、なに言い出してんだ。俺の腕の中で千芳が笑う。いや、この顔も堪んねぇけどよ。なんつーか、
どっかで聞いた覚えが、ダメだ。思い出せねぇ。
(まぁ、戯れで聞いたようなもんだろ)
 ピロートークっつーのもあるしな。千芳の雑談に付き合うとするかね。別に、髪とか顔とか触ってもいいだろ。あー、んな嬉しそうな顔をすんなって。普段は鉄仮面被ったように表情一つ動かさないよう気ぃ張っててよ。
(別に気にしちゃいねぇけど)
 俺の前だけだっつー話だからな。クスクス笑う千芳に、質問の答えをいう。
「そりゃぁ、生き残るしかねぇだろ。皐月様の悲願も果たせてねぇしな」
「ですよね。安心しました」
「安心したのかよ」
 なんだそりゃ。「安泰に過ごすとかいったら、蹴り上げるところでした」なんて物騒なこといってんじゃねぇよ。俺の息子が不安になっちまう。「まぁ、先にやることやってからの方が大事だろ」「ですね」「生きてるかわかんねぇけど」「いえてる」いや、笑うなよ。俺としちゃぁ、そこで笑ってほしくはねぇんだがなぁ。だが、千芳は笑う。当然とばかりに笑った。
(俺ぁ、そういうこたぁ望んじゃいないが)
 口に出せば、必ず反論がくるだろう。変に頑固だからなぁ、コイツ。悲願達成の暁に俺たちが生きているかが定かでないのは、ガチだが。
 千芳に跨り直して、軽くキスをする。睡眠時間削って生殖行為に励むなんざ、マジでアレだな。アレ。日々一日一日を大切にして生きろってか。うるせぇわ! ただ、いくら今が準備期間とはいえ、いつ死ぬかもわかんねぇ。生傷絶えなさそうなコイツに至っては猶更だ。チュッと肌に吸い付く。レロッと舌で舐めてみりゃぁ、笑う。俺の頭を包んで、顔を上げさせようとしてきた。
「擽ったいですよ」
 俺ぁ、降りてほしいくらいなんだが。とはいえ、口に出しゃぁ普通に激怒される。コイツだって、俺と同じ覚悟なのだ。いや、他のヤツらもそうだというべきだ。
(あー、わけわかんねぇ)
 まどろっこしい。一発抜きゃぁ、グチャグチャになった頭も落ち着くだろ。#naame#を抱いた。


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