■ (番外篇)漫画家は巫女さんの夢を見るのか? 【R−18注意】 

僕、岸辺露伴は出会った。巫女さんに、巡り合った。

あの可憐で神聖な彼女との出会いは、「運命」なんてものを感じずにはいられぬほど、衝撃的なものであった。
出会いの場所が、田舎町のオーソンであることにはややドラマチックさに欠け、出会いの会話はロマンチックと呼べたものではないけれど。

数日経った今でも、彼女が言ってくれた言葉は頭から離れない。脳内ミュージックプレーヤーでエンドレスリピート設定にしてるからな。24時間設定だ。
赤と白の巫女服を纏った彼女。心地の良い、はんなりとした独特のしゃべり方。夏の夜を濃くした髪。まつ毛は長く、瞳の琥珀を彩っていた。もう、目眩がしそうだった。過呼吸にはなった。

けれども今現在知り得る彼女の情報はこれだけだ。まだ僕は彼女の何も知らないのである、ガチの全力ダッシュと小さな勇気を代償に得た情報は、彼女が好きな漫画だけだ。
そう、未だ僕は彼女が何処に住んでるだとか、どういった性格だとか、年齢だとか、趣味だとか、下着の色だとか、バストのサイズだとか、何も知り得ていないのだ。

よし、今日は彼女について何を議題に脳内趣味レーションをしようか、上記後半二つは既に何十回と脳内で論議と妄想を繰り返し、今や海外ドラマのシーズン3程度には物語ストックが生み出されている。漫画家だもの、ストーリー展開はお手のものである。シーズン4はカミングスーン。


よし、今日は彼女の『性格』、すなわち『キャラ』について考えたい。
ズバリっ!彼女は『初心なエンジェル巫女さん』なのか! それとも『小悪魔ビッチ巫女さん』なのかっ!!

※以下の妄想は岸辺露伴のフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。


『先生、露伴先生、私が本当の私。先生の初心なエンジェル巫女さんやで。もうっ、そないに見といて。先生にじっと見つめられたら、私、わたし……」

 −ん? 僕に見つめられると何なんだい? ちゃんと正直に言わないとダメだろう? 素直じゃないその可愛いお口は少しお仕置きが必要だな。

『んんっ!ひゃっあっ……!はんっ、ん…。ら、らめ、ちゅうは、恥ず、かしっ、から。へんな気持ちに、なって、おかしく、なっ、ちゃうから……。や、ん……」

 −おいおいおいおい、キスだけでこんなにも顔を赤くして、トロトロ顔になっちゃうのか?くくっ、全く、しょうがないなぁ……

『やっ、耳元で喋っちゃ、ひゃうっ!ごめんなさいっ、あっ、だ、ダメ!そこは、手、入れたらっ、ひゃぁんっ』

 −おや、キスしただけでこっちもトロトロになってるじゃないかぁ。可愛いなぁ、ひょっとして変態の素質があるんじゃあないのか?

『ふーん。そうゆう先生かて、赤なった、トロトロな私の顔見て、ここ、こーんな大きゅうして……。変態さんやないの?』

 −き、君は……!!

『ふふっ。あかん子やねぇ、露伴先生は。私が本当の私、先生の小悪魔ビッチ巫女さんやのに、その子ばっかりかわいがって、もうこんなに、ガチガチに固くして……』

 −あ、こ、これはそ、その!ま、待ってくれ!

『だーめ、ほら、先生のここ、私の足にグリグリ踏まれて、嬉しそうにヨダレたらしとるよぉ。気持ちいいねぇ、先生?』

 −うぐぅっ!だ、だめだ!ちょっと待っ、ひぐっ!

『ふふっ、かーわい。ねぇ先生、そっちの天使ちゃんの私より小悪魔の私の方が好きやんねぇ?』

 −あ、うっ、(先っぽが、彼女の白い足袋で、グリグリされて、あ、き、気持ちいい…!)

『……だ、だめぇ!』

『…!』

『あ、あなたばっかり、ずるい……。私も先生に、き、きもちよくなってもらいたいんやもん……。先生、私、初めてやけど、一生懸命頑張るから、見とってね……』

 あむっ、はむはむ、ぺろ、ぺろ

 −なっ!……はっ、うっ、ぐっ…!
 (恥ずかしがり屋の彼女が、僕のモノを、下着越しだが顔を真っ赤にして、涙目で、甘く喰んで……!)

『んっ……。ね、先生、私、ちゃんとできとる? やっぱり、んっ、きもちよくない……?』

 −(NO! NO! NO! NO!)

『もぉ……!先生は私のんなんやからぁ! ねぇ先生、先生は小悪魔ビッチの私のことは、嫌いなん?

 −(NO! NO! NO! NO!)

焦れを切らした二人の巫女は、体を引き寄せあい、白衣の奥のやわらかな胸を互いに擦り付け、子猫のようにじゃれ合う。

ちゅっ、ぺろぺろ、んっ……。

エンジェルの彼女が、小悪魔な彼女が、ああああんなにも淫に……!あっ、お互いに足を絡めて……!こ、これが『萌え』ってやつなのか……!


『『ねぇ、露伴先生。私たちのこといっぱい愛して……?』』

「YES! YES!! YES!!! YES!!!!!


ジリリリリリィィイ!!!!

窓辺には歌を奏でる番の小鳥。自転車のブレーキ、新聞がカタンと音を立て、アスファルトをまた駆ける音。初夏の早朝、爽やかに吹く風。血走った眼光、虚しく空を掴んだペンだこのついた手、現実に打ちひしがれる、岸辺露伴。

「Oh, My. God……」

布団をめくり、己の半身を見つめながら呟く。シーツをひっくり返しても、そこにはエンジェルも小悪魔もいない。
絶望した漫画家、一人だけ。

ああ、また、また、やってしまった……!
ジタバタ、ジタバタ。大丈夫、泣いてない。

夢の中の彼女たちは、そりゃあもう天国を見せてくれた。起きた瞬間地獄を感じるほどに。
やってくるのは、彼女への罪悪感と、現実への絶望感。

「ああ、くそっ、また、やってしまった……」

そして、また、出来なかった。

「また、名前、呼べなかった……」

どうして、あの時聞いておかなかったんだ、僕。何十回、何百回、頭の中で、夢の中で彼女と会っても、一度として、彼女の名前を呼べやしない。

「ダメだ、寝不足だ……。もう一眠り……」

瞳を閉じて、もう一度君に会えたなら、エンジェルでも小悪魔でもいいから、君の名前を教えてくれ。


漫画家は巫女さんの夢を見るのか?

又の名を、「深夜テンションで頭の悪いどすけべを書いたせいで、予測変換に『初心なエンジェル巫女さん』と『小悪魔ビッチ巫女さん』が消えないよ!』の巻
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