死んだ眼







黒い髪を、乱雑に一つに結んでいた少女は町を歩いていた。
黒真珠の様に美しい黒い瞳は、死んだように何の感情も映していなかった。
町の喧騒も、その少女の耳には全く届いていないようだ。







「ねえ、あの子凄い怖くない…?」







「うん…死んだ魚みたいな目でさぁ。」








通り過ぎた少女らに言われた言葉。
表情自体は何ら変化しなかったが、その瞳だけは一瞬だけ、少女らを見た。



何の不幸も知らず、笑い合う少女達。



少女は口の中だけで小さく呟いた。












「・・・・くだらない。」

















黄昏の空には、一等星がきらめいていた。














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