炎の中の惨劇
「ィや…。」
真っ赤に燃える。
見慣れたリビング。
座り慣れたソファー。
家族の団欒の間が、すべて赤く燃え上がる。
「ぃや…ッ」
床に倒れる、黒い物体。
それは炎とはまた違う赤い色の液体を流していた。
「ぃや、ぉか、さん…。
助けて…おにぃ、ちゃん…ッ!」
上を見上げた。
まるで、覆いかぶさるようにそびえ立たつ人。
らんらんと光る眼は、血走っていた。
「やめて・・・・
助けて、まだ…まだあたしは・・・・ッ!」
「ごめんな―」
振り下ろされた、鈍く光る何か。
それは、まっすぐに自分の胸元を狙って、振り下ろされた。
「ぃやあぁぁぁぁぁぁあぁァあ゛ぁ゛ァ゛ッ!!!!!!」
振り下ろされる直前、何かが爆ぜた気がした。
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