「わぁ…!
人がたくさんいらっしゃいますね!」
繁華街を、あるく六人。
ティアは興味深そうにきょろきょろとあたりを見回した。
「このくらい、多いとは言わないぞ?」
「そうなのですか?」
「ああ!東京に行くともっと人がいるんだぜ?」
「わあ!見てみたいですわ!」
「人混みがみたいなど、妙なことを言うのだな…。」
思わず苦笑する一輝。
しかしなんだかんだで彼女に対する警戒心をすっかりといてしまった。
「あまり人と交わらなかったので…。
こうして外に出るのも、本当に久しぶりですわ。」
その言葉に、五人は思わず眉をひそめた。
「ティアって、ずっと閉じ込められてたのか?」
「そこまで大袈裟ではありませんけど…。
限られた者としか会う事が出来なかったので…。
それにあまり周りがうろつくのも認めてくれませんでしたからね。」
あっさりというティア。
だが、五人にとってはかなり不愉快な話だ。
「深窓の姫君、とは悪趣味だな…。」
「やりたいこと出来ないなんて、ひどいよ…。」
「こんないい人閉じ込めるなんて…!
ありえねえ!」
「最悪だな…。」
「・・・・・。」
「ふふ…そんな怒らないで。
それにたいして不自由だったわけではありませんでしたし。」
「でも…。」
「これも、私の宿命というものですし。
それに、限られた時間、こうして外に出て肌で感じるのも、悪くないですから。」
その言葉に、五人は顔を合わせた。
そして、星矢と瞬がティアの手を取ると笑った。
「じゃあ、とことん楽しもうぜ!」
「ティアさんの思い出に深く残るようにね!」
「・・・ええ!」
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bkm