一方、聖域の教皇宮では緊迫した空気が張りつめていた。
「なぜ、冥界からハーデスと海界からポセイドンがここにいらしたのですか?」
それもそのはず、冥王・ハーデスそして海皇・ポセイドンがきていた。
「余だとて来たくて来たわけではない。」
「少しばかり、天界で厄介ごとがあったのだ。」
「・・・・厄介ごと?」
首をかしげるアテナこと城戸沙織。
そばに控える教皇・シオンも同じように首をかしげていた。
「あなた方がここにいらすほどのことなのですか?」
「ある意味ではな。」
溜め息とともにそう漏らすポセイドン。
隣のハーデスも苦い顔をしていた。
「ある神が、今日行方がわからなくなったのだ。」
「え…?」
「我らと同じ、オリンポスの12神の1人なのだが、
天界のどこを探しても姿が見えないのだ。」
「そこで、海界と冥界にも捜索願が出され、行方を探してるのだが、やはりいない。
と、なれば考えられるのはただ一つ」
「地上のどこかにきていると言うことですか…?」
予想外の展開に驚く沙織。
そんな大神が行方不明ということ自体が予想外すぎる。
「あやつのことだ。
いい加減引きこもるのにもあきてきたのだろう。」
「あの者のマイペースは折り紙付きだからな…。」
「あの、その行方がわからない神というのは…?」
「いってなかったか?
その神の名はー」
ポセイドンからその名をきき、沙織は少し驚いた。
「実は今日その神から香木が贈られる予定なのです。」
「なんだと!?」
「ええ……。
ですが、いつも使者の方が賜りにきてくださりますし、
その神がここにくるとは決まっては……。」
「いや、めったに外にでないあいつに伝はない。」
「ならば、ここにくるのは必至だな……。」
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bkm