「ねー、ゆき。
うちらこのままここにとどまるの?」





「…いきなりどうしたの?」








畳の臭いがする部屋。
そこに寝転びながら藤木がつまらなさそうに聞く。







「だってさぁ、折角戦国時代に来たんだよ?
もっといろんなところ回りたくねえ?」





「ないよ!!!
ていうか危なすぎるって!!!」








ぶんぶんと首を振るゆきをみて唇を尖らせた。








「危険上等、好奇心優先!
大体どこにいたって危険は変わらないんだし、折角だからいろんな人みたいじゃん。」






「それはそう、だけどさ・・・・。」








ゆきは否定できず、下を向く。
なんだかんだでゆきは生でBASARAの武将たちを見て見たいのだ。






「うぅ…でも、でも謙信さんたちに悪いよ。」





「謙さんだったら説得すれば納得してくれるっしょ。
大体あたしらがここにとどまる理由だって無いでしょ?」





「うー…それはそうだけど」





「よーし、じゃあ決まり!」








あまり気乗りしないゆきに
バリバリな行動派は立ち上がって部屋を出た。








「ちょ!?藤木!?どこいくの!」





「決まってんじゃん、謙さんとこ!」






「えぇええぇええ!?」









にんまり、と悪いこと考えてるときの藤木の顔を見て、
あ、これはとめらんないな、と悟るゆき。









「で、でもさぁ!
藤木!行くとしたらどこに行くの!?」






「知らない!!!きめとらん!!!」






「…はぁ。」










きりっと胸を張る親友に、「やっぱりか」なんて思うゆき。
藤木はそんな相方の気も知らずケタケタ笑ってる。








「あたし地理苦手なんだよね〜
ていうか、此処どこ?あたしら今どこにいるわけなの?」






「それすらわかってなかったの…!?」











親友のあほっぷりに、ゆきは膝から崩れ落ちる。
知ってはいたがやっぱりこの子アホの子だ、なんて涙目で思う。










「ここは越後の国だよ…。」





「越後…なんか、悪代官と一緒にいる商人みたいだねぇ。
暴れん坊将軍に出てきそう。
“越後屋。お主も悪よのう”的な?」





「それはまた違うんじゃない…?」










相変わらず変な知識だけは十分にある藤木。
それに苦笑しながらも、胸元から地図を取り出した。










「まあ、それはどうでもいいや。
ここから近いところは?」






「えー…?」







頭の中で少し考える。
どこも消して近いとは言えないが、武田、最上、宇都宮・・・伊達?









「伊達さんかぁ…あの人イケメンだよなぁ。」







いろんな人の顔を思い浮かべながら、思わずそう口から漏らしてしまった。
あわててゆきは口を押さえるが、藤木の耳にきっちり届いていた。









「イケメン!?
いいね!じゃあその人に会いに行こうよ!」







「!?
だ、だってここからかなり距離あるよ!?
だったら他の…」








「いいじゃん!
ゆきの認めるイケメンに会ってみたいし!
イケメンにあたしも会いたいし!」





「え、ぇええぇ…」






「じゃ!それで決まりね!
あたし謙さんにいってくるわ!」









「ちょ、ま!藤木!!!!」











後ろも顧みず、走り出してしまった藤木。
置いてけぼりにされたゆきは頭を抱えた。











「もぉお…私の馬鹿ぁ…」
































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