∵ 夢にまで見た、《幻想》の国 今回はどどっと八枚! 16日の作業枚数が5枚とかなりハイペースだったのです。しかし対する今日は3枚…昼間にやたら落ち込んでたので大体其のせいですが、前日かなり進んだだけに「ちぇっ(・ε・` )」ってなりました。 まあ此の中の八枚目の頁がやたら大変だったせいもあるでしょう。馬と人が大軍!描くのも大変でしたが、トーン貼るのも大変でした。何故って?スピード線があるもんで線が繋がってないからだよ!! マスケットをアナログでツヤベタしといて良かったと心底思いました。 …此の下は、此の間支部にあげた鬼灯のEU地獄夫婦漫画「君のことだけを切に想う」のプロット代わりの小説です。 「こんな話にしたいな〜」って夜中にもや〜んと考えた時になんとなく書いたモノなので唯でさえ上手くない小説が更に残念な出来映えです。だけど勿体無いから此処で供養!(貧乏性) ↓ きっと此の手では君を傷付けてしまうだろう。 レディ・リリスと云う女に出逢ったのはもうかれこれ大分前の話だ。 サタン様のお付きになってからだから割りと最近と言ってしまえば最近なのかもしれないが、先ず不死に近いから長さも何もないと言えば無い。 美しい、女性だと思った。 「初めまして。堕ちたくなかったら、私に近付かない方が身の為よ、ベルゼブブさん」 誘惑を本分とする君の瞳に魅せられなかったと言ったら嘘になる。 けど牽制も意味なく俺は簡単にリリスに堕ちた。 愛なんて、悪魔に堕ちてから忘れていた。 「俺を、一番に愛してくれないか?」 君が望むなら、男と遊ぶのは今まで通りで全く構わない。 君が望むなら、欲しがるモノはなんだって買ってあげる。 君が望むなら、誰かを殺すことだってきっと厭わない。 だから、唯一つだけ俺の望みも叶えてほしい。 重たいだろうか?其れでも愛してしまったんだ。もう戻れやしないんだ。体よく君に嵌まっただけかもしれない。けど恋しいんだ。 「リリス、俺と結婚してはくれないか?」 此の身が朽ち果てる時が来るのなら其の時まで、俺はリリスを愛し続けると誓うから。 ――――――――――――――… 出逢ってから結婚まで、他と比べれば割りと早かった方だとは思う。 ゆらゆらと眼前で蠢く緑の尻尾を眺めながらぼんやりと考えていた。尻尾に比べれば頼りない背中の羽根は、彼が蠅の王であることをとてもよく表している。竜のような尻尾と手は何からきているのだろう。蠅らしくないような気がする。 「リリス?」 私の視線に気付いたらしい旦那様が此方を振り向いた。振り向き様にしゃらと揺れるモノクルの飾りがなんだかとても好きだった。 「なぁに、ダーリン」 「ダ、ダーリ…いや、えっと」 カァァアと赤くなってしどろもどろになる旦那様がとても可愛くて口元がにやけてしまった。こういう可愛いタイプの男性も中々好ましい。 「さっきから見てたみたいだったから…」 「未だ寝ないのかしらって」 「あ、眠いか?先に寝ててくれて良いぞ」 もう夜も更けてきたというのに仕事をこなしている旦那様に就寝させようとそう言うと(本当は口実だけど)意外な言葉が返ってきた。 実は初夜からずぅっとこんなことが続いている。 つまり、旦那様は私を抱こうとしないのだ。 「……そう?なら、お先に」 「あぁ、おやすみ。リリス」 ニコリと微笑まれながら近寄ってきて、頬にちゅっとキスを一つ。そう口へのキスも誓いを立てた時しかしていない。 やたらと旦那様がストイックなのだ。 (男って皆やりたい盛りじゃないのかしら…) まして此のレディ・リリスが誘惑しているのに。 一度解りやすく、しかし言葉にはせずに誘ってみたことがあった。…上手くかわされた。誘惑を本分とする以上、少し本気でショックを受けた。額にキスをして、愛の言葉を囁いて、彼は其れで終わり。 結婚して暫くくらいは、他の人に手を出さないでおこうかしらなんて思いもしたけど、そろそろ我慢も限界といえば限界だった。 なんで、全く手を出してこないのだろう。 「…ねぇダーリン」 「あれ、リリス?寝てなかったのか。どうしたんだ?」 「ダーリンって、病気?」 「へ?」 もやもや考えていても仕方無いと、寝室から出て本人に聞きにきた。もしかしてEDとかなのかもしれないし…。 「何で?」 「何でって…勃たないのかしら、って思って」 「はぁ!?」 私から出た言葉に旦那様は心底驚いたようで、素頓狂な声を上げた。 「あー…俺が、君を抱こうとしないからか?」 頭をボリボリ掻きながら目を逸らしつつそう言う旦那様に、こくんと頷くと困ったように微笑まれた。何…? 「君を傷付けたくないんだ。だから心苦しくはあるけど、他の男と遊ぶのだって止めない」 「…?意味わかんない」 「まあどちらにせよ、君の本分だから誘惑に関して口は出さないんだが、其れにプラスして俺は君を抱けないから、そういう場合はまあ仕方無…」 「抱けないって…何で?」 「俺は、君を傷付けてしまうから」 至極真剣な顔でそう告げる旦那様。私には意味がわからないままだ。 「何が…」 「こんな、化け物の手で君に触れることは出来ない」 「!」 「壊してしまう」 だから、そういう行為は一切出来ないのだと彼は哀しそうに笑った。 そういえばあの一度きりの口へのキスの時でさえ、彼が私に添えた手は普通の手の方だった。竜のような手は虚しくぶら下がったままにしていた。 「……あなた馬鹿ね」 「え」 「私が其れくらいで傷付いたりするものですか」 「り、リリス?わっ…」 ぐいっと胸元を引っ張って彼の口へキスをする 「私はレディ・リリス。生まれた時は人間だったかもしれないけれど、エデンを追い出された、今は悪魔よ。誘惑を本分とする悪魔の女。其れくらいで壊れたりしないわ」 杞憂なのよ。 そう笑って見せれば、驚いた顔が破顔したモノに変わった。 そうだな、と幸せそうに笑みが深くなった。 竜のような手が伸びてきて、私の頬に優しく触れた。 ――どちらにせよ、貴方は優しくしか私に触れないのだから、壊れるわけなかったのよ。 2014/02/18 02:24 Tue comment (0)│漫画製作報告 |