「ナマエは何か部活入らんばぁ?」

クラスの友達にそう聞かれたのが数日前。私も部活のことはいろいろ考えた。
前の学校では陸上部に入ってたし、走ることは勿論、
運動なら基本的に何でも好きだから、入るなら運動部にしようと思ってた。
でも、今はもう3年の春だ。
どこの運動部でも、夏の大会を最後に3年生は引退する。
つまり、今入っても約3ヶ月で引退してしまうことになる。それじゃぁちょっと中途半端すぎる。
かといって、昔からスポーツばかりしてきた私が、いきなり文化部に入る気にもなれない。

というわけで結局部活は諦めることにして、雰囲気だけでも見ておこうかなと思い、
今日は授業が終わってからいろいろな部活を見て回っていた。
体育館で活動している部を見たあと、その裏にあるテニスコートに足を向ける。

思った以上に広いテニスコートでは、男子テニス部が活動していた。
暴力顧問と噂の早乙女先生は、今はいないようだ。
そのせいか、掛け声や喧騒に紛れて、時々笑い声も聞こえてくる。
フェンスから少し離れた所に立ってコートを見回すと、一際痩せて背の高い部員を見つけた。

「(知念くんだ…)」

知念くんは、他の部員と練習試合をしているところだった。
テニスについては詳しくないけど、それでも彼がとても上手いんだということは、何となく分かった。
そして、普段は見せない部活中の知念くんの表情に、私は釘付けになった。

「(テニスしてるときの知念くん、すごく楽しそう…)」

ぼーっと見ているうちに、その試合は終わっていた。知念くんが勝ったようだ。

「(わぁ……かっこいいなぁ)」

そうしてしばらくの間、フェンス越しにテニス部(というか知念くん)を見ていると、
派手な金髪の人がフェンスの外で突っ立っている私に気づいたようだ。
金髪の人は知念くんの所まで駆け寄り、
何か耳打ちしたと思ったら、ニヤニヤしながら私の方を指差した。
知念くんは私を見て、それから何故かその場で俯いてしまった。
それを見て、金髪の人が何やら騒ぎだし、その声を聞き付けてか、
帽子を被ったこれまた派手な髪型の人まで知念くんのところにやって来て騒ぎだした。

「(だ、誰あの人!てか何よアレ?!私何かした?!)」

とたんに私は恥ずかしくなり、逃げるようにその場をあとにした。


***

「あの子かぁー、知念が「そっ、そんなことあらん!」
「…まーだ何も言っとらんどー、ちーねん?」
「!!!」


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