このごろ、やたらキャプテンと目が合うような気がする。
ほら、今だって。
次の任務に関する資料の説明をしながらキャプテンの方をチラッと見ると、彼は資料でなくわたしの顔を見ていたのか、彼と視線がぶつかり、そしてサッと逸らされてしまった。
なんだろう…髪型が変とか? 服やメイクがおかしいとか?
最近仕事の担当が変わってキャプテンと頻繁に関わるようになったから、彼はわたしの変なところに気付いたのかもしれない。
「以上ですが、何かご質問は」
「特にはないよ。ありがとう」
「あの、キャプテン」
「?」
「えっと…わたし、何か変ですか? 髪型とか、服とか」
「え、どうして?」
「いえ、なんとなく…」
「なにも変なところなんてないよ。むしろ……その髪型も服も、すごく素敵だと思う、よ」
「本当ですか! 良かったぁ」
キャプテンの言葉にひとまず安心したものの、なんだか彼の様子がおかしいのが気になる。
顔は赤いし、視線は宙を彷徨っている。
女性相手に褒め言葉を言うのに慣れてないのかな?
そういえばキャプテンの浮いた噂なんかも聞いたことがないし、こういうところは本当、プレイボーイなスターク氏とは真逆なんだなぁと思ってしまう。
ひとりで勝手に納得していると、キャプテンはあちこちへやっていた視線をまっすぐこっちに向けて、やたら真剣な表情でわたしの名前を呼んだ。
「ナマエ、その、」
「はい?」
「えっと…最近ここの近くに美味しそうなレストランができたんだけど、知ってるかい?」
「い、いえ…」
なんで急にレストランの話? しかもそんな真面目に話すようなこと??
なぜか緊張した様子のキャプテンを前にして、わたしまでどぎまぎしてしまう。
「も、もし良かったら、一緒に行ってみないか…?」
「え……それってもしかして、キャプテン…」
「う、うん…つまり、君と、」
「キャプテンって、新しいお店とか気になっちゃう派なんですか!」
「え? いや、そういうわけじゃ、」
「それなら、他の方も誘ってみんなで行きましょうよ! わたし、みなさんの予定調整しますよ!」
張り切ってそう言うと、なぜか残念そうな表情になってしまったキャプテン。
あ、あれ…わたし変なこと言ったかな……もしかして出しゃばりすぎた?
なにが悪かったのか自分の言葉を思い返してオロオロしていると、突然キャプテンが、そっとわたしの手を握った。
彼の手が少し震えているのが分かって、わたしはさらに混乱した。
「あ、あの、キャプテン…?」
「ナマエ……僕は、ね」
「は、はい」
「僕は、ナマエとふたりだけで、行きたいんだ」
一層顔を赤くしながら、わたしの目を見つめてそう言うキャプテン。
その言葉に、表情に、わたしはハッとした。
どんどん頬が熱くなって、彼の顔が見ていられない。
これって、これってもしかして、つまり、デートのお誘いってこと…?!
ってことはこの前、映画は好きかって聞かれたのとか、もっと前に、美術館の話をされたのとか、そういうのってもしかして全部……
ああもう、どうしてもっと早く気付かなかったの、わたしのバカ!!
悪気はないんです
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匿名様、リクエストありがとうございます! 天然ヒロインはあまり書いたことがなかったのですが、ご希望の内容になっていますでしょうか…? こんな駄文で申し訳ありませんが、少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです! 改めまして、この度はありがとうございました!
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