あなたがここにいてほしい

「友達はいらない」とあのとき言った。
きっと今、あのとき思ったままに日々を生きている。
ご丁寧かつ大層な壁なんか必要無くて、目が合ったならその時は0円のスマイル。それでまあるい、平和な世界。大人の嗜み。最低限度の作法。それを素晴らしいと思っているし、それだけのことすら出来ないやつが馬鹿にさえ見える。
閑話休題。
詰まるところ、今でも「友達はいらない」んだ。大丈夫。きみが居なくても困らない。いい歳して笑顔も作れない、きみたちの子供っぽさに呆れこそすれ、もう期待はしないよ。自由に唄って、勝手に踊っていてね。

あの夜いっしょにお酒を飲んだ。
淡いピンクに浮かぶ泡とか、分け合った「好きな味」。
「好きそう」だからと差し出してくれたキティの味を忘れない。
他愛ないくだらない話でいっしょに笑えるひと。
きっとどちらかに遭ったかなしい出来事をいっしょに泣けるし、そのたびそのたび、いちいち、きっと同じくらいにふたりで怒るんだろう。
こころの何処か、いつもとはなにか、少し違う部分が満たされていたんだ。とても幸せなきもちで煽ったウイスキーバックを分けたほんのひと口、「大人の味」と笑ったあなたが思うほどには、わたしは大人ではないよ。
決めかねているんだ。ふたりの繋がりに、付ける名前。
いらない友達と同じ括りなんかにはしたくない。
反面。名前なんか無くていいか。なんて、思ったりもしてる。
既存の枠に押し込めるから浅い。
出来合いの名前に甘んじるから淡い。
そんなの本当はどうだってよかったんだ。
あなたに対して、わたしが願ったこと。
この気持ちだけで答なのかもしれなくて。
そうだったらいいなんて、それだけ。

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