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今日、私たちは負けた。今日まで色んなことがあった。幸村が病気になって、みんなはその分がむしゃらに練習して、私はそれを何とか支えて。
幸村が一番頑張った日に、私たちは初めて負けた。それでも幸村はいつものように帰ってきてくれて、だから余計がむしゃらに練習した、のに。



「…な、んでっすか!!」


私たちよりほんの少しだけ幼い彼は、やっぱり一番に泣いた。私だって泣きたかった。みんなだって、私より泣きたいはず。
泣いたのは彼だけだったけれど、歯を鳴らす音が聞こえた。


「あんなに頑張ったのに何でっすか!!先輩たちだって、俺が勝てねえのに、何であいつら、何で…!!」

「…泣くな、赤也」


最早ちゃんとした言葉にはなっていなかった。それでも、赤也が言いたいことは私たち全員に分かる。だってそれはここにいるみんなが思っていることなんだ。

だれもがまた歯を食いしばっただろう中で、一番に赤也に声を掛けたのはジャッカルだった。


 




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