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「泣くなよ、お前にはまだ来年があるだろ?」


ジャッカルは優しいから、必死に自分の思いを押し殺してる。大事な後輩の為に。
私には何も言えなかったのに、やっぱりジャッカルはさすがだね。


「…何でそうやって大人ぶるんだよ!!」


ついに赤也がタメ口になった。感情が高ぶった時の赤也の癖。いつもの生意気さに、少しだけ口元が緩んだ。


「大人ぶってなんかない」

「…じゃあ何で先輩たちは泣かないんすか!!」


そんなの、私たちにだって分からないよ。
それは言わなかったし言えなかった。私たちは、泣けないんだ。目頭が熱くなると勝手に力が入っちゃうのよ。泣きたくない、泣いちゃだめだって。
考えるとまた全身に力が入って、私はそれ以上何も言えなかった。



「アンタらだって泣けばいいだろ…アンタらのが、泣きたいんじゃねーのかよ…!」


ジャッカルの励ましも、ブン太のからかいも、柳の冷静な言葉も真田の鉄拳も受けることはなく、赤也は泣いていた。

柳生も、どんな目をしているのか分からないけれどいつものようにハンカチを差し出すことはなかった。仁王はいつものように何も言わないけれど、珍しく真っ直ぐに赤也を見つめていた。
私の横に居る幸村の表情は見えない。それでも確かに、ぎりりという音は聞こえた。


一緒に泣いて赤也を励ましてやればいい。

みんな同じ気持ちの筈なのに、誰も泣きじゃくる赤也にそれをしてやることはできずに、時が過ぎていく。







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