▼ 死闘

まんまと乗せられた気がする。
でも男に二言はないっつーか、ここでやっぱやだって言ったら自分で早いって認めることになりかねない。それは俺のなけなしのプライドが許さないしってことで撤回はしなかったけど、1個だけ条件をつけさせてもらった。別に自信がないわけじゃないけど、決して自信がないわけじゃないけど! でも勝負の前になるべく勝率を上げとくのが俺のポリシーってやつなのだ。

「え、フェラだけ?」
「うん。ダメ?」
「何でフェラだけ?」
「あれ、自信ないの?」
「……!よし、分かった」

さっきの辰巳を真似てにやっと笑うと、まんまと挑発に乗ってくる。よしよし、負けず嫌いはお互い様だったらしい。

てなわけで床に下りた俺は、ベッドの端に浅く腰かけた辰巳の足の間に入りこんだ。手早く部屋着らしきジャージと下着をずり下ろして辰巳の息子さんとコンニチハ……って、あれ。

「えっ! でかっ!」
「あーありがとう?」
「えええ! 何これこんなん初めて見た」

未だかつてご対面したことのないサイズのマグナムに、俺の目はまさに点になった。いや確かに凛ちゃんが言ってた通りあれは多少アレしてるけど。
ほうこれがこうなってんのか…いやしかしこのサイズはうらやましい…というかごく平均サイズの自分のと比べると男としてのプライドが…しかもこれで平常時ってことは元気になったらもっとでかくなるわけで、ってことは顎疲れそうだなこれ、だなんてまじまじ見ていたら、俺を見下ろしていた辰巳がぽんと俺の頭に手をおいた。

「あんま見ないで。恥ずかしいから」
「あ、ごめん。いや、でも皮云々よりサイズの方がびっくりする」
「ああ、怖じ気づいた?」
「ち、違うし!」
「別にギブアップしてもいいけど」
「しねーよ!つーか辰巳、これの威力しらないでしょ」

舌先を出してピアスを見せつけながら笑うと、辰巳の顔は僅かに引きつった。「あ、やべ…」と呟いた辰巳の声にいい気になってふふんと笑いながら、時間確認のために携帯を開く。

「じゃあ15分からねー」
「待った、やっぱりさあ」
「男に二言はなーい!」
「ちょ、……っ」

舌出して唇をつけた途端、辰巳は掠れた吐息をもらして唇を噛んだ。きゅっと閉じられた目が何だか色っぽくて、その顔を見上げながらも夢中になる。
口の中で大きくなった辰巳のは、すぐに先端から少し苦い液体を溢れさせだした。っていうか元気になるとやっぱデカすぎる。でも入りきらない部分を手で扱きつつ、裏筋から先端、尿道の辺りまで舌を這わせると、その度頭上で押し殺したような吐息が聞こえて、

…ヤバい、俺も興奮しそう。

「辰巳、気持ちい?」
「ん…ヤバい、ちょい待って…」

辰巳の手が俺の髪を掴む。でもそれに構わず、喉の奥までくわえこんだ。
やっぱり顎が痛い、けどラストスパートと思って頭を上下に動かしていると、俺の頭を引きはがそうとしていた手の力がちょっとずつ抜けていく。口と喉をすぼめて吸い上げると、不意にその手が逆に俺の後頭部を押さえつけた。

「悪い、もう無理……!」

押し殺した色っぽい声が、俺の下半身を直撃する。とどめにちょっと敏感らしい先端を刺激するように舌を這わせれば、辰巳は小さく呻きながら俺の喉に苦い液体を発射した。

「…っ、げほっ」
「あー…ごめん、ほらティッシュ…」
「ん、ありがと」

貰ったティッシュでべたべたになった口の周りを拭いてから、ベッドにごろんと上半身を倒した辰巳に乗っかるように抱きついた。
少し荒くなった息を整えていた辰巳は眩しそうに俺を見上げ、それから俺を抱きしめて唇の端っこにちゅ、とキスをしてくれる。
あーやっぱ可愛い。ほんと好き。
早くどろどろに甘やかしてあんあん言わせたいなー。

「えー辰巳くんのタイムは13分でーす」
「うわーやべ、もうちょっと持つと思ったのに…」
「えへ、気持ちよかった?」
「ん…すごかった」
「んふふ、俺もムラムラしちゃった」
「そ? じゃあ次俺の番ね」

目を細めて笑った辰巳に、ごろんと体勢を入れ替えられてシーツに押し倒される。そしてそこでようやく俺は気づいた。

「あれ、後からされる方が不利じゃね? これ」
「何で? つうか貴史が自分で先にするって言ったんだろ」
「え、だって俺すでに興奮して……っ」

寝たままの体勢でジャージと下着を下ろされ、布が擦れたその刺激にさえ、既に俺の腰は跳ねかけた。あ、ヤバい、と思った瞬間、俺の下半身を見下ろした正巳が口元を上げる。

「もうビンビンじゃん。俺の舐めながら興奮してたの?」
「ちょ、ちょっと待って、せめておさまるまで…!」
「だーめ。時計見て」
「…う、ぁ!」

辰巳の唇が俺のにキスするように触れた途端、電流でも流れたかのように快感が走る。
そんで舌を這わされてくわえられた瞬間、俺は思った。ヤバい負ける、と。

ぎゅっと唇を噛んで目も閉じて、頭で別のことを考える。だけど何を考えようとしてもすぐに下の方で響く水音に意識は引き戻されて、ぼんやりピンク色に霞みかけてきた頭の中で、俺は辰巳のキスを思い出した。

あの、触れるだけで気持ちいい厚めの唇。
それからやらしい動きで絡んでくる舌。

それが今はキスじゃなくてフェラしてくれてるわけで、そりゃもうヤバいなんてもんじゃないっつーか…

「ちょ、辰巳! 待って待ってお願い!」
「…どした?」
「も、ヤバい、マジでヤバいからぁ! お願い手加減して!」

恥も外聞もかなぐり捨てて辰巳の前髪を掴んで叫んだ。俺のを咥えながら上目遣いで俺を見上げた辰巳が、目を丸くして俺の手元にあった携帯を引き寄せる。

「…もう? まだ2分しか経ってないけど」
「2!? いやちが、違うんだって!いつもはこんな早くないんだけど!でも辰巳のくちが…」
「俺の口が?」
「だって、気持ちいいんだもん…」

ヤバい、もう出そうっていうかむしろ泣きそう。恥ずかしいし情けないし、つーか早すぎだしみっともないし。しかもこのままじゃ俺が掘られちゃうわけで…えええどうしよう!

「分かった、元々貴史が不利だしな。ちょっと手加減してやるよ」
「えっほんと? よかった…」

口を離した辰巳がそう言ってくれて、ほっと胸を撫で下ろしたのもつかの間。ぎゅっと俺のアレの根元を掴んだ辰巳は、意地悪そうに口元をつり上げて笑った。
え、なに、なんかいつもの辰巳と違うんだけど。

「時間ギリギリまで焦らしプレイってのも悪くないよな」
「えっ? あ、んん……っ!」
「かわいー声。抑えないでちゃんと聞かせろよ?」
「え、なに? 何なの? 正巳もしかしてS、…あ、んぁっ!」
「はは、もうこんなとろとろにしちゃって。やらしいなあ貴史」
「えっ、ちょ、言葉責めやめて! 俺Mじゃな、…あっ! やだ、ひ、ぁっ!」

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