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 散々親衛隊連中に突っ込んでた上に呑気にケツって気持ちいいのかなーなんてほざいた俺が言うのもどうかとは思うが、そもそもそこは物を出す場所であって入れる所ではない。
 ないのだが、それならなぜそこには性感帯が存在するのだろうか。まさに人体の不思議。まさかアナルセックスをするためだとでも言うのか? いやいやそんなバカな。本来の用途から外れすぎもいいとこだろう、それじゃ。
 というか、人類最初にアナルセックスをした男は一体誰なのだろうか。何がきっかけでケツに突っ込もうと思い立ったのか、ぜひ教えていただきたいものである。ついでに人類初めてケツに突っ込まれた人にも、どうして受け入れようと思ったのか聞いてみたい。もちろん無理矢理突っ込まれたってセンもあるからそれならそっとしておきたいんだけれども。
 しかし果たしてそいつは男だったのか女だったのか、もし男だったらその予想以上の快感にきっと驚いただろうとは思う。なにせ俺だって驚いてるし。
「ん、っ……、あ、ぁ、も、っ、んん……っ!」
「柾くん……、ね、もう挿れていい? 僕もう我慢できない……」
「……っ、ふ、ぁ……!」
 だって、ケツの割れ目に擦り付けられる聡介のブツに俺の体は勝手に甘く反応してしまっている。指で散々解された穴の表面をまるで焦らすかのように行ったり来たりするそれ。しばらく見ていない間にいつの間にやらすっかり剥けていた先端が入り口を引っかけてともすれば中に滑りこんでしまいそうになる度に、何とも言えないもどかしさだとか気持ちよさだとかで、ついつい腰が揺れてしまう。心は聡介とセックスなんてありえねえと思ってるんだが、しつこく触られた体はどうやらそうではないらしい。
 つうか聡介よ。
 ハァハァしながらチンコ擦り付けんな。発情期の犬かテメェは。
「柾くん……、ね、お願い……」
「ひ、ぁ、ああっ……! も、はやく、いれろよ……!」
 いや、犬は俺か……。
 あまりの情けなさにいっそ泣きたくなるのと同時に、微妙に角度を変えた聡介のブツの先端が、ずぶりと俺の入口、いや入口というか本来は出口なんだがとにかく今は入口、を割った。
「あ、あっ!」
 その途端痺れるような快感が、その部分から全身に駆け上る。丸くつるんとした先端はひどく熱く、まだ先端がほんの少し入っただけだというのに異常な存在感を持って押し入って来ている。指とは違う重量で無理矢理広げられた入口、いや出口……いや、まあ入口でいいか……、は抵抗するかのようにそこにある異物を締め付けていて、そのせいで余計に、聡介にヤられているという事実を再確認させられてしまう。
「っ、柾くん、ちょっと力抜ける?」
 その締め付けがキツいのだろう、聡介はきゅっと眉を寄せて宥めるように俺の髪を撫でた。が、多分その何百倍も俺の方がキツい。確かに聡介と同じ台詞を、相手は違うが俺も同じように吐いたことがあるのは認める。認めるが、自分がこの立場になってみてやっと分かった。力を抜くとか抜かないとか、そんなことを自由自在にコントロールする余裕なんざこれっぽっちもない。
「いや無理、絶対無理……」
「……っ、お願い……」
「ほんとむりだから……あ、っ……!」
「う、ぁ、柾くん……」
 きつく目を閉じて無理無理マジで無理、と内心呟き続けている俺の頭上で、聡介が一際辛そうにうめいた。いや、むしろ喘いだ。こいつ挿れてんのに喘ぐのか、しかもまだ先っぽだけなのに、と頭の片隅でぼんやり考えた次の瞬間。
「ん、あっ……、やばい、ごめんっ……!」
 ものすごい異物感を伴って侵入しかけている聡介のブツがどくんと拍動した。え? と首を傾げるやいなや、ぎゅっときつく抱きしめられ、次の瞬間ぬるりとした液体が体内に流れこんでくる。……ん?
「……え、お前まさか」
「あー……うわ待って、うわー……ごめんいつもこんなんじゃないのに……」
 思わず見上げると、聡介は真っ赤にした顔を隠すようにうなだれていた。確かに全部入れないうちから三擦り半さえもいかずに暴発となればそりゃあ恥ずかしいだろう。ごめん、と蚊の鳴くような声で呟いた聡介の今にも死にそうな顔に、悪いとは思いながらもつい笑ってしまう。それで少し冷静になった俺は、聡介の肩を押した。
「よし、終わったな。シャワー浴びてくるからどけ」
 正直に言えば変なローションを塗られたケツは未だ疼いているし、あまり深くは考えたくないが聡介が出した精液まで追加されさらにぬるぬるになった感触で余計に妙な気分になっている。だが、それ以上に俺はほっとしていたのだ。もっと先まで進んでいたら、弟同然の聡介相手にどんな醜態を晒していたか分からないから。いやもちろん既に醜態は晒しているわけだが、だからこそこれ以上は避けたいわけで。
 だから未だ俺に覆い被さっている聡介を押しのけ足早に仮眠室内の風呂場に立ち去ろうとしたのだが。しかし起こしかけた上体はそのまま押し返され、再びベッドに逆戻りした。
「待って、まだ終わりじゃないから」
「は? だってイったろお前」
「でも柾くんはまだイってないでしょ」
 見上げれば、ひどく決まりの悪そうな顔をしていたはずだった聡介の目はいつの間にかぎらつきを取り戻していた。その途端、終わったとばかり思い込んで完全に油断していた俺の頭に警戒信号がなった。
「いや、いやいや俺はいいから!」
「良くない。ちゃんと最後まで責任とるから」
「いらん! マジでいいから離せ!」
 下半身に伸ばされた聡介の手を振り払い、咄嗟に体を捻る。が、狙われていた俺の息子を守るために半回転したのがいけなかった。撃退できたと思った聡介の手は、しかし代わりに俺の腰を両側からがしりと掴んだのだ。
「げっ、ちょっ待て待てほんとに……っ」
 これはまずい、と身をよじるが、意外や意外、本気になった聡介の力に俺はかなわなかった。そのまま完全にひっくり返され、うつ伏せで聡介の前に尻を曝け出すような体勢になってしまう。さすがに焦るが何も抵抗できないまま、あらわになった穴に再び熱いものが押し当てられた。青ざめて首を捻れば、一発出したばかりだというのに完全に復活している元気はつらつなブツが、いたいけな俺の穴に今にも突き立てられようとしている。
「おおおお前何でまた勃ってんだよ!」
「だって、やっと柾くんとできるっていうのにあんな中途半端なのじゃ全然足りないよ。柾くんも足りてないでしょ?」
「足りてる足りてる! 十分満足し、あ、あぁッ……!」
 悪あがきも虚しく、するりと尻を撫でられると同時に聡介のチンコがずぶずぶと侵入してきた。さっきのキツさを思い出して反射的に身構えシーツを握りしめるが、今度は体勢のせいなのかそれとも追加されたぬめりのせいなのか、大した抵抗もなくさっきよりも奥へと入ってくる。
 頼むから俺のケツよ、もうちょっと抵抗してくれ。。

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