頂き物:きみに敵わない [ 3/9 ]

「白菜が1ドル20セント、だと?」
「鈴、いいのあったか?」
「あったあった」

カートを押す二代目にこっちこっちと手で指し示す。

「白菜が安いから買うー。あと豚肉買って豚と白菜の重ね煮しようよ!ポン酢上から掛けて食べたら美味しいよ!」
「米はまだあったか?」
「う〜ん…あと一回分くらいはあったかな?」
「じゃあ買っていくか」
「いいの?米重いよ?」
「お前と違って力持ちだからな」
「じゅ、10キロぐらいなら頑張れるよ!」
「分かった分かった」

ぽすぽすと頭を撫でられ、行くぞと促される。
カートを押す二代目の横について歩いた。

「あ、しめじ!でも今日ちょっと高いや…ねぇ二代目?」
「何だ?」
「しめじ?」

こてりと首を傾げて言う。
すぐに言わんとしていることが分かったせいが、二代目から苦笑が漏れた。

「いや、しめじよりは立派だな」
「じゃあエリンギ」
「あれだけあったら充分だ」
「じゃあなめこー」
「ぬめってるのか」
「わきゅわきゅわきゅっ」
「収穫しない」
「できないの?」
「残念ながらな」
「あ、玉葱みっけ」

安いものをみつけてひょいとカートの中の籠の中に放り込む。
なんせ大の大人7人分だ。
かなりの量の食材を買い込まなければならない。

『にっくにっくにくお肉の子〜』
「楽しそうだな」
「ん?楽しいよ。服を買うより好きかもしれない」

豚バラ肉のかたまりをそれぞれ見比べながら返事をする。
むぅ、脂と赤身のバランスを考えるとこっちか。

「二代目、食べたいものある?」
「ピザとストロベリーサンデー」
「ピザならマルゲリータ?」
「いいな」
「ならトマト缶買おうか。ソース作っちゃえばパスタにも使えるし」
「粉チーズがなかったな」
「じゃあ塊で買おう。粉になっているのを買うより安いし美味しいよ?」
「相変わらず詳しいな」
「料理は大好きだからね」

山積みになった籠を見て必要なものは買い揃えたかと満足気に息を吐いた。

「これで全部だね」
「鈴、まだ苺を買ってない」
「駄目。ついこの間作ったばっかりだから、駄目。食費使いすぎるとネロくんが頭抱えて困るんだから」
「鈴」
「だめ」
「鈴」

こちらを見て穏やかに笑う二代目。
こいつ……私がこの笑顔に弱いことを十二分に分かってやがる。

「……値引きされていたら買ってもいいよ」
「何作ってくれるんだ?」
「痛みかけているのなら赤ワインのスープ仕立てにして、アイスに掛けて食べよう。もしくは他の果物と一緒に砂糖とレモン汁、リキュールに漬け込んでマチェドニアにしてもいい」
「楽しみだ」

どうせ値引きされていなくても買ってしまうに決まっている。
私は『ダンテ』に弱いのだ。

「よっ、と!」

袋詰めした荷物を両手にぶらさげて、一つは肩に引っかける。
二代目が持つのは米の袋だ。

「鈴、一つ渡せ」
「え、だって二代目米持ってるじゃん」
「ふらふらしてるだろ?ほら」
「いいよ」
「今しか言わない」

有無を言わさない言葉に負け、仕方なく二つ比べて軽い方を二代目に渡した。
私よりも重たいものを持っているのに、それを軽々と運ぶ姿は、やっぱり男の人なんだなぁと改めて再認識する。

「敵わないなぁ」
「そうでもないさ」

ぽつりと呟いた言葉は、二代目の耳に届いたらしい。

「帰りにコーヒーでも飲んで帰ろうか、お姫様」

好きだろ?と言われて、ああ、やっぱり敵わないな、なんて再び思ったのだった。





きみに敵わない
(何飲むんだ?)
(抹茶ラテ!)
(本当に好きだな)



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いつも通りサイト様巡りしてたら、なまりさん家のキリ番踏んだのでリクエストさせていただきました(*´д`*)

2様と鈴ちゃん(夢主ちゃん)のほのぼのを依頼したらこの破壊力…!
読んだ後ゴロゴロのたうち回ってましたよ、「オアアアアアア」っつって。


なまりさんありがとうございました…!(*´ω`*)



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