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「………知ってる」
「キ、キョンくんっ!!すみません、すみませんっ」


古泉のこんなに蒼白した顔は、初めてみる。
俺の一部分消失してしまった手を、掴み何度も何度も叫んだ。





――――懺悔の言葉を。





思えば、優が来てからろくなことにあっていない。
こんな思考に至る俺は、やっぱり何処かおかしいな。



泣き叫ぶ古泉を宥め、俺は消失していない手で、鳴りやまない携帯を手にした。
「もしもし」
『出来た。すぐ、来て』
簡単な単語だった為か、混乱をきたしていた俺の脳でも次は何をすればいいのか分かった。
古泉がキョトンとした目でこちらを見ている。
「ウィルスが…出来たらしい」
長門に一方的に切られた電話を閉じて、古泉に内容を告げる。
「本当ですか?!早く、早くいきましょうっ」
何故か、自分で歩けるのに古泉はわざわざ俺を姫抱きにして長門の家に向かった。






****


「ウィルスの感染方法はしっている?」
長門の家につき、まず聞かれた問いがこれだ。
「一応……な」
「僕は……知らないですね…」
けれど、と古泉は続ける。
「検討はついています」
流石は、頭いいだけのことはある。
「で、俺がヤツにウィルスを流し込めばいいのか?」
長門は静かに頷く。
古泉が驚いたように声をあげた。
「い、いけませんよっ!!そんな危ないことを貴方がやる必要は……っ」
それがある。
俺はもうすでに、何度か感染済みだ。
わざわざ、感染していないヤツが、感染を覚悟でウィルスを流し込むことは理屈的に間違っている。
「いいから、任しとけって」
長門に腕を掴まれ、対有機生命体ヒューマノイド・インターフェース特有の聞き取れない程の早さでなにか呟かれた瞬間。
身体に何か入り込む感覚を覚えた。






 

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