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「私が、ウィルスキラーを作る。ただ……」


「ただ、なんだ?長門っ」


「どんな副作用が出るかわからない」



ピタリとこの世の時計が全て停止した気がした。

「それは……」
驚いた様子で、古泉は長門の肩を掴む。
珍しいほど、彼は動揺していた。

「命に関わるんですか?!」

暫くの沈黙が続いた。
古泉の顔が、段々と青ざめてゆく。
俺はその時、さっぱり危機を感じなかった。
ただ、古泉は感じていたらしい。
長門は黙ったまま瞬きを繰り返す。
古泉は急に俺を抱き締めて、「すみません」と何度も繰り返した。


その肩が、震えていたのを俺は感じとり、あぁコイツは俺が消えてしまうのをこんなにも悲しんでくれるのかと、少しいとおしくなった。
長門は、相変わらず瞬きだけを繰り返す。
暫くして、口を開いた。



「ウィルスを作るのに2日はかかる。それまでがんばって」
「…あ、……はい。分かりました」
まだ動けない俺を、古泉はまだ震えている腕で優しく抱えてくれて、長門の家を出た。
「古泉、もう下ろしていいぞ?」
「駄目です、動けないでしょう?」
「そうだけど……お前、腕震えてるぞ?重い…だろ」

「違います。それに、あなたは思ったほど重くない。寧ろ軽すぎます」
「じゃあなんで……」




「あなたが死んでしまう可能性があるからですよ」



この時、俺ははじめて長門の言ったことを理解した。そして同時に、古泉がなぜ震えているかを理解した。

「大丈夫だ。俺は、死なない」


「キョンくん……!」
ぎゅっと抱き締められる。


外だというのに気にせずに思いっきり。
俺も実を言うと、嬉しかったんだ。
例え、永久の別れが来たとしてもな。




だから。


古泉心配するな。な?





「愛していますよ」






 

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