中毒




「ねぇ、どこに行くのかい?」



なまえの服の袖を掴んで寂しげな瞳で見つめる。



『ちょっと飲み物を取ってくるだけだよ』



寂しがり屋なのは暗い過去のせいだろう。と甘やかしたのが私の運の尽きだった。

Nは私が少し何処かへ行くだけで情緒不安定になって私を探し続ける

私が少し突き放すと涙を絶えず流して自分を傷付ける




だから、私はNの為に一緒に暮らすことにした




「行かないで、ここにいて。」

『Nも一緒においでよ、ならいいでしょ?』



そう言ってNの腕を優しく引っ張ってあげると、Nは私が導くままについて来る。



『何がいい?』



Nの目の前にオレンジジュースとコーラ、お茶を差し出す



「なまえと一緒がいいな」

『じゃあ、オレンジにしよっか』



コップを二つ取り出し、オレンジジュースを注ぐ。
静かな部屋で水音だけが響く



『はい、え…ぬ、うわっ』



Nにジュースを注いだコップを差し出そうとしたら唐突にNが抱き着いてきて、コップが床に落下しコップは割れなかったが、ジュースが床に無造作に散らばる



『ちょ、N…』

「なまえ、愛してる」

『うん。』

「なまえは?なまえの気持ちを言葉で聞かせて。」

『私もNが好き、愛してる。』



細かく震える腕で私をキツく抱き締めるNの背中に私も腕を回す



「なまえ、何処にも行かないでよ」

『うん。』

「ベルのところも駄目だよ。」

『分かってる』

「もし、君が他の男のところに行く位なら殺してあげるよ」



優しい声色には似合わない毒を持った台詞を口にする







「…あと、」








"構ってくれないと、ボク、死んじゃうかもね"




小さく、そして儚く笑うNに私は優しく頷いた。








          中毒





(何でだろ。君がいないと苦しいんだ)

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