純愛アーカイブ
『夏目、夏目…』
どこか覚束ない足どりで俺の元に駆け寄ってくるなまえ
俺はそんななまえを手を広げて受け入れると腕の中に閉じ込めた
彼女は妖怪だ。
でも、俺は彼女が好きだ
「なまえの髪は綺麗だ」
彼女の綺麗で艶やかな黒髪を指で弄ぶ
俺はなまえの髪が好きだ
綺麗で、長くて、いい香りがする
『夏目の髪も綺麗だよ、栗みたい』
「俺の髪は色素が薄いだけだよ」
生まれつき色素の薄い俺の優しく撫でる
俺はなまえの肩に顔をうずくませると思いっきり匂いを嗅いだ
最近の女子は髪にやたら鬱陶しい程のスプレーを巻いたりして時々、胸やけするがなまえの髪は優しい香りがする
まあ、妖怪だから髪にスプレーなんかまかないと思うけど
『夏目、くすぐったいよ』
「いい香りがするんだ」
居心地が悪そうにしているなまえを強く抱き締めて、額にひとつ、触れるだけのキスを落とした。
(今度、俺と風呂はいろ)
(なんで?)
(髪洗ってあげたいから) [ 16/18 ]← →
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