愛とスパイス




彼女はきっと遊びなのだろう。

きっと、きっと、

俺のことなんか見てくれてもないだろう。




───それでもいい、それでもいいんだ。






俺が彼女の傍に少しでもいれるなら、









         愛とスパイス





俺はなまえのことが好きだ。

いや、愛してると言っても過言ではない



だから彼女の傍に居たい。
どんな手を使ってでも彼女が欲しかった



だから俺は彼女に自分の想いの丈を告げたんだ





そして、帰ってきた返事は





『No』





狂ってしまいそうな程、愛してるのに何故。





「なんで駄目なんだ? 俺は、なまえのことが大好きなのに」

『わたし、音也くんが好きなの』



その言葉を聞いただけでとち狂いそうになった


何で俺じゃなくて音也?

音也なんかより俺の方がずっとずっと愛してる

絶対に幸せにする自信があるのに何で?






だから、俺は違う関係を選んだ


恋人じゃなくてもいい、


身体だけの関係を望んだんだ。




それでもいい、彼女の傍に居たいと思ったから







だから、今日も愛のない行為が始まる



一方的な愛の行為を今日も繰り広げるのだ













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『…ふぁん! あ、ああっ…!』




静かな薄暗い一室で今日も性行為が始まる

客観的に見てみるとその行為はまるで愛し合う恋人のようだかその間には"愛"がない。

いや、彼女には愛がないのだ




淫らな水音が響き合う中──…




翔は純粋に、目の前で喘いでいるなまえだけを見つめる

自分のでなまえは気持ちよくなっていると感じるとより一層大きくなってまた互いに快感を与える



「…はぁっ! 好き、好きだ…っ!」



なまえの細く白い腰を掴んで何度も激しいピストンを繰り返す




『ああっ! あ、ん…っ! 音也く、ん!!』




翔の名前を呼ばずに自分の想い人の名前を口にするなまえ。

いつもそうだ。

いつもいつも俺とする時はそうやって
音也の名前を出す。


今、なまえとやってるのは音也じゃなくて俺だ。




「俺の、名前呼べよ…ッ!」



激しく腰をつき、自分の想いをアピールする



『いや…っ! 絶対呼ばないんだか、らぁ…あんっ!!』



翔は歯がゆそうに舌打ちをすると乱暴になまえの身体を引き寄せて何度もピストンを繰り返す



「クソ…ッ! なんで、音也なんだよ…ッ!」




怒っているかのような、それとなく寂しそうな表情で自分の心境をなまえにぶつける




『んあああっ! イク、イクーっ!!』

「っ、イけよ…ッ!!」



激しく腰を突きあげるとなまえは糸も簡単に絶頂を迎えてしまった




「ったく、どうかしてるぜ…」



隣りで寝息を立てているなまえに目を向ける



自分からこんな関係を望むなんかどうかしてるぜ




でも、それでも、





「好き、だ…」





小さく、静まり返った寝室で囁いて自分も眠りに入る。






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