いつだって彼女は僕を苦しめる



例えそれがわざとだろうがそうではなかろうが僕はどちらでもいい

なまえの傍に在る事が僕の望みでもあり彼女の存在が僕の存在意義なのだから高望みなどしない




「愛してる」




彼女は僕にいつもそう言ってくれる。
落ち着かない時、病む時、寂しい時、自暴自棄になった時、いつだってその一言で僕は癒されて救われるんだ


彼女と僕の愛は本物で、それ以外全てどうでもいいんだ

なまえが僕だけを愛してくれているなら他の全てに目を瞑る



それが例え椿兄さんと関係があろうと風斗と快楽に溺れようが愛して止まない人間が僕だけなら何だって耐えられる





だって君の恋人は僕だけだから。












***









「…んあっ!、っあ!……ああ、」






肌を重ねるのは恋人同士の特権、では無い。
だってなまえの身体を蹂躙しているのは実際問題、僕だけじゃないからだ

でも愛を囁いてくれるのは僕だけ


僕だけなんだ。





「祈織さ、ん……」

「うん、……もっと僕を良くして、」

「ひゃ…!ん、ああっ」





僕だけの君でなくても、


僕は君だけだから。



僕を楽しくさせるのも、嬉しくさせるのも、悲しませるのも、淫らにさせるのも、全部全部君だけだよ







「ん、祈織さん…いっちゃ、う!」

「うん。一緒にいこうね」





彼女の中を一層強く突くと容易く身体を小刻みに震わさせ呆気なく絶頂を迎えた

そして更に締まる彼女の中に刺激を与えられ僕も絶頂を迎える。同時に白濁した液が放出され、未だ繋がったままの入口からゆっくりと垂れていった





「愛してる。ずっとずっと、なまえだけを」

「うん。私も」

「ありがとう。」




彼女の頬に触れるだけのキスを落とすと優しく微笑みかけてくれた






「あ、私今から用事あるからちょっと待っててね」

「うん。分かった」






きっと、椿兄さんのところだろう

椿兄さんはなまえにお熱だから。



でも残念だけど彼女は僕の

幾ら椿兄さんがなまえと肌を重ねてもそれは意味の無い行為
だって、彼女が愛してくれているのは僕だからね


椿兄さんとなまえの行為だって唯の馴れ合いに過ぎない






優越感に浸りつつ、リビングに向かう途中祈織は椿の部屋の前を横切った

すると大好きな僕のなまえの声が鼓膜を擽った






(椿さん、私も好きです)







足を止め、立ち止まる













「嘘吐き。」



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