「まるで眠っているみたいだ」





冷たく青白くなった彼女にそう呟き、髪を掬い口付ける

身に纏っている純白のワンピースには真紅の鮮血がまるで芸術品の様に飛び散っていてより一層彼女の美しさを引き立てている様にも思える。





「寂しいのも、悲しいのも、辛いのも、全部全部終わらせてあげたよ……今すっごい幸せでしょう?愛する僕の手で最期を迎えたんだから、ねえ、なまえ」




床に滴る血を掬い、陶器の様に青白い彼女に色を付ける様に血を擦り付ける
恍惚な表情で死体と為ったなまえを見つめる





「寂しくないよ、大丈夫。僕も今から君の元に行くからね。……僕達の愛はやっと完成する」





愛してる。

そう何度も囁き、床に無造作に転がっているナイフを手に取り首筋に添える






「僕の何よりも大切ななまえに愛を囁くね。好き、大好き、愛してる……僕には君だけで君も僕だけ。僕から君へ、最大の愛の証を捧ぐから………ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、二人だけの世界で愛を確かめ合っていようね」






死体と為った彼女の周りに散りばめられてるアイビーに祈織は目を落とす

その花に何の意味があるのかは祈織しか知らない






「アイビーの花言葉はね、死んでも離れない。」









嗚呼、愛してる。









うっとりとした表情で首筋に添えているナイフに力を込めて抜いた

飛び散る鮮血がまた彼女の純白のワンピースを彩っていく。



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