彼女は僕の希望だ。



底知れぬ闇に浸っていた時いつも彼女が僕を救ってくれて震える僕を抱き締めてくれた

今まで色んな人が僕を「救いたい」だとか「助けたい」だとか訳の分からない好意や心配を向けてきたがそれを鬱陶しい以外感じれなかった僕が彼女から差し出された掌には自分のそれを重ねた

何故だか分からないけど、きっとなまえなら僕を救ってくれると言う確信が心の奥底であったんだと思う




数え切れない程キスをして、愛し合って、毎日一緒に居た。




不満なんて無い筈なのに心のどこかがざわついて仕方ない。
なまえが帰り際決まって「また明日ね」と小さく綻ぶんだ。それをいつもなら微笑ましく愛おしく想う筈なのに最近は違うんだ




明日なんて来る保証どこにいるのだろうか

明日なんて来ないかも知れないのに

明日、君は居なくなってしまう保証も無いし明日僕が居る保証も無い





仮に明日が永遠に続くとしよう。
だとしても僕と彼女がこれからも恋人と言う関係でいれるかだなんて分からない。なまえは可愛くて優しい子だ。
向けられた好意に彼女が応えてしまうかも知れない




だったらこの有限な時間を一分一秒たりとも無駄にはしない。

なまえの心が僕から離れてゆく前にどうしても繋ぎ止めなければ為らない






「ねえ、待って」

「どうしたんですか?祈織さん」

「今日は泊まっていきなよ」

「………突然ですね、」

「いいでしょ。だって君ともっともっと一緒に居たいんだ」 




半ば強引になまえの腕を引いて、胸の中に収める

彼女の一つ一つの仕草が愛おしくて堪らない

顔を紅潮させて恥ずかしそうに俯くなまえの耳元で「いいでしょ?」と問うと素直に首を縦に振ってくれた


彼女はきっと察してくれているんだ
だって僕と彼女は想い合い、繋がっているのだから。

僕が彼女と共に生から解かれ、二人だけの世界に行く事を絶対に彼女も望んでる。

僕はそう確信した






これでやっと僕達は本物になれるんだ。



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