体育祭

「ねえねえじろくん、これって沢田の忘れ物かなあ?」
「あ……?」

時は土曜日……本来なら休みのはずなのに、俺とじろくんはというと学校にいます。誰のせいって、もはや学校関連ではかの風紀委員長様しかいないよね。
最近生徒会というものを始めて思ったこと………やたら仕事の量が多いんだ、うちの学校の委員会って。他の学校の委員会活動状況を詳しく把握しているわけではないけれど、中学生の委員会活動ってもっと軽いものだと思う。仕事が多いのは何も風紀や生徒会だけのことではなく、全てだ。……まあ、学校を牛耳っているのが一生徒(彼を‘一生徒’の枠で括っていいものかは知らないが)なのだから生徒が主体になるのはしょうがないのかもしれないけど、でもやっぱり納得いかない。いつもいつも‘僕の学校’と豪語しているんだから、いっそ全て自分でやればいいのに。ま、量的に不可能だけどさ。

まあ、今はそんな話じゃなくて、生徒会室にあった見知らぬお弁当箱の話だ。

「だからさ、これ沢田のだよねって、」
「んなこと俺が知るはずねぇだろうが。」
「ありゃ。」

ばっさりと切られた。
そりゃ、じろくんは沢田率いる問題児トリオのことを良く思ってないからね……ただでさえ某委員長さんのせいで多い仕事を増やすから。確かに俺も仕事を増やされることについては腹立つけど、それ以上に問題児トリオが面白いんで目をつぶることにした。大体休日に登校しなきゃいけないほどの仕事量は、9割方委員長さんのせいだし。
不機嫌そうに片づけを始めるじろくんだが、俺もそんなじろくんにひるむような性格ではない。ずっと一緒にいるしね。それに結局のところ、じろくんは優しいんだから!………すぐ殴るけど…。

「この間問題児トリオが遊びに来たとき、忘れてっちゃったんでしょ。あの中じゃ沢田が一番弁当っぽいもん。」
「……………で?」
「うん。そんでさあ…、」
「ふざけんな。」
「まだ何も言ってない!!」

本題を一文字も口にすることなく断られた。あまりにも早すぎるよ……せめて半分くらい言わせてくれたっていいじゃん。そりゃあじろくんなら俺の言いたいことくらいわかるんだろうけどさぁ……。
じろくんと以心伝心はとてつもなく嬉しいですけども。

「どうせ届けに行くからついてこいとかだろ。」
「わあ!以心伝心だね!じろくん!!」
「…………馬鹿だろお前。」
「もう馬鹿でいいからさー一緒行こうよー!」

じろくんと一緒じゃなきゃ行きたくない!と腕にしがみつく。行かなきゃいいだろ、と言いつつもきっと最終的に俺の言うことを聞いてくれるだろうじろくんが俺は大好きだよ!!





さてそんな問答の末、沢田のお宅につきました。
扉を開けた沢田が、ひくりと頬を引き攣らせる。おうちの人は留守らしい。

「こんにちは、沢田!」
「………。」

にっこりと言う俺と、ため息のじろくんを認識して初めて動いた沢田がばっと足元のリボ先生を見た。おおにらんどるにらんどる。
きっとリボ先生が呼んだと思ってるんだろうけど、今回は違うんだよな。
その視線に先生が気づかないはずもないけど、あっさりと先生は無視をして俺らを笑顔で迎えた。うん、沢田ってなんかからかうの楽しいもんね。わかる。

「よく来たな。まあ上がっていけ。何もねーがな、マジで。」
「リボーンテメー何様だよ!?」
「部屋汚ねーし。マジで。」
「うっせーほっとけ!」

沢田は反応がいちいち素敵だよね。

先生に向かって叫ぶ沢田の横をおじゃましまーす、といいながら通り過ぎると、多分入ってほしくないんだろうけど、口をぱくぱくとさせていた。言いたいけど言えないみたいな。楽しいなあ。さすが沢田。
それにルンルンしていたら、じろくんは呆れたように俺を見ていた。




「うわ、本当汚い。」

部屋に入れば、ゲームやら漫画やらは出しっぱだし、お菓子のからもごみ箱じゃない場所に散乱している。お菓子は片そうよ。虫たかるよ。
俺の感想に、「汚いのは俺だけのせいじゃ……ランボだって……」とぶつぶつ不満そうにつぶやいている。

「人のせいにすんなダメツナ。」
「そうだよ駄目だよ沢田。人として常識だよ。」
「もう本当なんで来たんですか!?」

珍しい直球な沢田の叫びだ。まあ本当の本当は「帰れ!!」って叫びたいんだろうけど。それはまだ沢田には難易度が高すぎかな。

「ちゃんと用事あるよ。俺は沢田の忘れ物届けに来てあげたんだから!」

ふふん、とお弁当箱を取り出すと、嫌そうな顔をしながら(多分頼んでねーよとでも思ってるんだろう)受け取り、複雑な顔をしながら(言いたくないんだろうね)ありがとうございましたと言った。
“ありがとうございました”ってもういいから帰れってことかね。“ありがとうございます”だと続きあるように感じるけど、“ありがとうございました”だとはい終わりって感じだよね。……でもそんなの知らないよ。俺沢田とお話したいもん。
とりあえずお菓子の袋を踏まないようにベッドに向かい、そこに腰を掛ける。

そこで一言。

「沢田、俺のどかわいた。」
「………………はい……。」

ガク、とわかりやすく肩を落しながら沢田は部屋を出た。



「………嫌なら追い出せばいいのにー。」
「言って出て行く柄じゃねーだろ。」

そりゃそうだけど。でも言ってみなきゃ始まんないのにねえ。
だってぶっちゃけわかんないよ。じろくんは絶対帰りたがってるし、沢田は帰らせたがってるし。うまくやれば帰ったかもしれないのにさ。駄目元でやってみる価値はあったよきっと。
まあそこが沢田の良いところであり……ってことかな?色々面倒事させられんだろうね、特に先生みたいな人と一緒だとさ。かわいそうに。







帰ってほしい。けどさすがにそんなこと言えない。

……小心者め!

さっきから引っ切りなしにしゃべり続けているメイノさんに気のない相槌を打ちつつ、自分自身を罵る。
メイノさんはのどがかわいたと言ったくせして、俺が用意したジュースを一口も飲まずにひたすら口を動かしている。
天名さんはメイノさんの横で不機嫌そうに窓のほうを向いているし、リボーンはリボーンでメイノさんの話を聞いてるのか聞いてないのか……とりあえず言葉を発しない。話しているのは実質メイノさんだけだ。

「でさ、沢田はどこの組?」
「……そうですね。」
「………さーわーだー!」

てきとうな相槌を続けていると、目の前でパンッと手を叩かれてメイノさんを見る。

「聞いてなかったでしょ。」

頬を膨らませながらそう問われる。聞いていなかったけど、聞いてませんでした、なんて言いたくないし……聞いてました、なんて言ったら完全嘘だし。
そんな俺にメイノさんはやっとジュースに手をつけ、ぐいっと一気に飲み干した。

「もー!だからさ、もうすぐ体育祭じゃん?沢田は何組?って聞いてたの。」

黙っていたのはジュースを飲んでいる時だけだった。本当ある意味すごいこの人。


……ていうか、ああ、体育祭………。
嫌すぎる行事だ。体育祭なんて学業に関係ない行事、自由参加にしてくれればいいのに。運動神経皆無の俺にとっちゃ、もはや拷問でしかなく、楽しみでもなんでもない。なるだけ考えたくないのだ。

「…確か……A、でした。」

ああ嫌だ嫌だ嫌だ。
勝負事となれば皆燃え上がる。その中で足を引っ張ることがどれだけ堪えるか……これはもはや俺みたいな奴じゃなきゃわからないだろう。いっそ風邪ひきたい。

「へえ!俺らはBだよ。敵だね!」
「はは……。」
「Aって総大将誰だっけ?……ああ、笹川か。笹川わかる?」
「よく知ってます。」
「あいつだとまた一波乱ありそうだよねえ。がんばれ沢田!むしろ沢田が総大将なればいいと思うよ俺は!」
「俺を殺す気ですか……。」

俺みたいな奴が体育祭の競技に出るってだけであれなのに……んなもんやるなんて言っただけで袋だたき決定だ。メイノさんは冗談だよ、とけらけら笑っている。
俺は本当に、本当に気のない返事しかしてないのに……なんでこの人こんなに楽しそうなんだろう。
それにしても……そうなのか、京子ちゃんのお兄さんが総大将………激しくあつーいことになりそうだ。

「………メイノさんは、」
「んー?」
「総大将やるんですか?」

この人がやるとしたらますます面倒くさくなる。本気でやめてくれよ。
そう必死に念じていたが、あっさりと違うよ、と否定された。

「俺はそういうのしたくないの。じろくんにはやってほしかったんだけど………“ぜってーやだ”だって。」
「当たり前だろ。」
「だってー……なんか押切とかわけわかんない奴になっちゃうしー……。」
「……失礼ですよ?」

メイノさんが総大将じゃなくて良かった。“押切”さんには感謝だ。

それでも嫌なのは変わりないけど。
………はあ……憂鬱だ……。







*****





「卑怯だぞー!A組大将ーー!!」
「A組大将は退場しろー!」

体育祭当日です。

案の定というかなんというか、やっぱり騒ぎは起こってしまった。まあ、先生がいる時点で何も起こらないほうが怖いし。嵐の前の静けさ――ってね、その後絶対反動でとんでもないことが起こるんだ。
何があったかって、B、Cの総大将が何者かに襲われたらしい。俺も詳しくは知らないけど、聞こえてくる話にはA組が毒を盛ったとかなんとかもある。A組の総大将は笹川だったはずだが、何故か1年生の沢田が総大将となっている。生徒会にはそんな申請来てなかったような気がするんだけど?気のせいかなあ?
先生がいるだけでも色々大変なことになるのに、そこに笹川みたいな奴が入ってきたら………。ちくしょうあの馬鹿。

という訳で一連の暴行や毒などの犯罪行為は沢田の仕業(ということになっている)らしい。
沢田のことは可哀そうだと思わないでもないけど、正直もう面倒だから沢田を裁こうか。基本うちの中学は某風紀委員長様のせいで教員はあまり介入してこない……いや、できない、と言うべきかな。さすがに今の状況だと大人が出てきた方がいいんじゃないかな、とは思うけど、しょうがないんだ。

「あー、……静粛に。これ以上騒ぐとうちのこわーい副会長さんがキレますよ。…と、いう訳で、棒倒しの問題について審議します。各組3年生代表は本部まで来てください。」

とりあえず行事については生徒会の仕事だしね。仕事はしますよ。







「A組は辞退などせん!」
「ちょっと笹川…わかったから!ちょっと黙って。大体ちゃんと沢田の意見も聞いてきたんだよね?」
「極限に愚問だ!沢田ほど勝利に貪欲な奴はおらんぞ!!」
「あ、そう…。まあいいや。」

何だかなー…。笹川ってツッコミ役がいないとだめだよね。うん。沢田って結構重要なポジションじゃない。俺はそこまで力強く根気よくツッコミできないから。だから俺が3年代表を呼んだのに、2年の笹川が来てることに関してはツッコミもあえて入れないよ。言っても意味ないし。

「会長!卑怯なことをするA組は即刻失格にすべきだ!」
「そうだよ!目撃者だってたくさんいるんだから!きちんと処分しないと!」

うん正論。
BCの総大将代理は一般常識を心得てるね。そういう人たちは大好きだよ。
てか暴行だの毒だのの処分を、“棒倒し失格”だけで済ませられるんならそれでいいと俺は思うんだ。普通警察沙汰だぞ。いちいちやったのは沢田じゃないよ、とか証明すんのも面倒だしね。
しかしながら、それが通用しない人間がここにいる。多数決!とか言っても聞いてくれなさそうだし。

「……だとさ笹川。A組棒倒し失格でいい?」

とりあえずこの馬鹿に説得を試みます。

「極限にありえん!」

ありえんのはお前のその思考だ……じゃあどうしろっつーんだ。
説得はほとんど実行すらできず、はああ、とため息をつく。俺をこれだけ黙らせられるのって笹川だけだよ本当。

じろくんのほうを見ると、じろくんもそれはそれはめんどくさそうにしていた。
もういいじゃん、A組失格でさあ……。俺もう面倒だよ。

額を抑えながら笹川をどう言いくるめようか考えていると、俺の答えが出る前に、笹川が思い付いたように叫んだ。

「ならばこうだ!A組はBC同時に相手するとしよう!」
「…………はあ!?」

……何馬鹿言っちゃってんのこいつ!馬鹿だ馬鹿だとは思ってたけどさ。そんなことで納得するかっての!てかそれで怪我人(主に沢田)が出たら更に面倒くさいだろ、俺が!

「そんなんでBCが納得すると思ってんの!?」
「ならば他にどうするのだ!」
「だからA組辞退しろっつってんじゃん!」
「それはできぬと言っているだろう!」
「お前はもう黙ってろー!!」

「………会長っ!」

言い争う俺らに、それまで黙っていたB組の代表が口をはさんだ。

「僕らはそれでいいよ……ね?」
「ああ。他組の総大将を襲うなんて卑怯な真似した奴を、辞退なんて楽な形で許してやれるか!」

「「ぼこぼこにしてやる!!」」





「うーわー………行っちゃったー……。」

超ノリノリだったよ皆。俺を無視するほど。

かなり面倒なことになったことで、じろくんはさらに不機嫌になってしまった。俺たちにとっても不幸なことだけど、一番の災難は沢田だ……。

「“ぼこぼこにしてやる”だって。」
「………くそ面倒臭え。」

ドンマイ沢田。でも俺のせいじゃないから。笹川のせいだから怨むなら笹川にしてね。
南無。







さてはて、BC連合の代表は誰になるのでしょうか。

「はい!俺はじろくんがいいと思います!」
「ぶん殴るぞテメー。」
「痛い!!」

軽くだけど殴られた。俺はじろくんの勇姿を見たいだけなのに。
だってだって、生徒会役員ってだけで、俺もじろくんも全員参加以外の競技には出てないんだ。俺は運動嫌いだからそれでいいけど、じろくんには色々出てほしかったのに。BCの代表は先生の陰謀により戦闘不能だから、新しく決めねばならない。これが最後のチャンスなんだ!

「やだやだやだやだ!じろくんじろくん!絶対じろくんがいいー!!」

皆どっかの部の主将とかを挙げてるけど、俺は諦めないよ。諦めなんて愚者の行為だね!俺は最後まで全力を尽くすよ!

「……いや、副会長さえ良ければ俺らはそれでも、」
「よっしゃ言ったな!ほらほらほらほらじろくんやってもいいってよ!後はじろくんが首を縦にふるだけ……っていったあああ!!」

かなり強くぶん殴られた。ひどいよじろくんってば。皆やっていいって言ってんだからやってくれてもいいじゃん。俺のために。
恨めしげにじろくんを見ると、じろくんは苦々しい表情になる。よし、後もう一押しだ!

「ね、だってどうしてもやりたいって人いないんでしょ。じゃあじろくんやろうよ。ね、やりたい人いないよね?」

ていうかここでやりたいとか空気読まない発言かます奴がいたらこの世から抹消してやる。
そんな風に念じながら尋ねれば、ほら、立候補なんていない。

…………と、思っていたが、ここで予想外の人が現れた。

「僕がやるよ。」

沈黙。
それと共にざあっと人が分かれて、そこにいたのは風紀委員長さま。

「ふっ……ざけんなーーー!!」

思わず叫んじゃったのは仕方のないことだ。
だって!だってだって!後一押しでじろくんがやってくれそうだったのに何しゃしゃり出てくれちゃってんのこの人。帰れ!群れ嫌い群れ嫌い言ってんだからその群れに突っ込んでくんなや!

「あんた何馬鹿言ってんの!?帰れ!」
「なんで君に指図されなきゃいけない訳?僕の言葉は絶対だよ。」
「うっさいばーか!つかマジでなんで来たわけ?帰れ!かーえーれー!」
「黙れうるさい。……これに出ればまたあの赤ん坊に会えるかもしれないだろ。」
「知らないし!俺はじろくんにやってほしいの!」
「……いい、雲雀やれ。メイの言うことは聞き流しとけ。」
「なんで!?じろくんひどいよ!」
「最初からやんねえっつってんだろうが。」
「ゔー……ってちょっとあいつ今俺見て鼻で笑いやがった!ふざけんなくそ風紀委員長!!」




「こんちくしょう落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ……、」
「……メイ、さっきからしつけぇぞ。」

棒倒しが始まってからずっと、俺は委員長さんを呪ってます。だって腹立つじゃんもう!くっそてかなんであの人はおってるだけの学ランすら落とさないの?化け物なの?うん知ってる。

棒倒しは基本男子全員参加だから俺らも参加はしてるんだ。被害受けたくないから1番後ろで突っ立ってるだけだけど。

「んなに言うなら雲雀の足でも引っ張ってくればいいだろうが。」
「…ダメダメ。そんなことしたらみんなから恨まれるよ。だからさ、委員長さんがマヌケに落ちてくれれば、鼻で笑ってやるのにって思って。」

さっきの復讐としてね!

……でもやっぱ委員長さんが落ちるはずもなくて、逆に沢田が落ちるみたい。
沢田ドンマイ、お前はよくやったよとか他人事だからこそぼーっと思ってたら、急に裸になった沢田が騎馬戦方式で勢いよくこっち側に突っ込んでくる。ミラクル。もう棒関係ないじゃん。

「……何て言うか…もう何でもありだね…。」
「…………。」

じろくんは超呆れてるね。ていうかさっさと終われって感じなんだろうね。だから俺が言った通りじろくんがやれば良かったんだ。少なくとも委員長さんがやるよりかはもっと穏便に進んだと思うよ。
まあ、俺個人としては沢田もここまでがんばってんだから沢田に勝ってほしいね。本音を言えば委員長さんに負けてほしいね!沢田もう棒に乗ってないけど。

「沢田がんばー……って、あ…落ちた。」

……いくらなんでも呆気なさ過ぎだよ…沢田。てか俺が応援した瞬間に落ちないでよ。なんか俺が悪いみたいじゃない。
俺もだけど、みんなポカーンってしてる。まあ悪いのは笹川と獄寺だけどさあ。

そうこう考えてるうちに、なんかものすごい騒ぎになってるんですけど……。

「……いい加減にしろよガキどもが………。」
「ちょっとじろくん何その顔超怖い。」

暴動を眺めるじろくん超怖い。みんなもみくちゃで争ってるのに、じろくんの周りだけちょっと空いてる。そんくらい怖い。
でもそうだよね。こうなったらこれ修めるのもその後片付けも俺らに回ってくるもんね。教師陣はこれに関しては全くのノータッチだし。特に暴動を収束させるのは俺できないからじろくん一人だし。嫌だよね、めんどいよね。
リボ先生が何とかしてくれないかなあと思って、チラ、と見ると、なんかニヤニヤしながらこっちを見てる。
……自分らで何とかしろってことですか。
でもなあ…いくらじろくんでも1人でこの人数抑えるのはきついよねぇ。てかきっとだるいよね。


………あ。そうだ。


「ちょっと待った!委員長さん!!」

さりげなく帰ろうとする委員長さんの腕をガシっとつかむ。

「………何。」
「‘何’じゃないよ。帰る前にこの騒ぎどうにかしてほしいんだけど。」
「…さっきは帰れって言ったり………本当勝手だよね、君。」
「はあ!?だって、つかこの騒ぎってほぼ100%あんたのせいだし!」
「どこが?」
「え、何それギャグ?どこがって全部!それにいっつもいつも“僕の学校”ってうざいくらい言ってんだからこんくらいしてよね。」
「…………。」

俺の主張にハア、とため息をつかれた。
なんで俺が悪いみたいになってんのさ。俺何か間違ってる?……いやいや、間違ってるのはこの人の頭だよ。この人理解不能だよねいちいち。いつもならこんな騒ぎ起きたら嬉々として“咬み殺し”に行くのに。今日は乗り気じゃないのは、“赤ん坊”……先生が出てきてくれなかったから、とか?

とりあえず乗り気じゃないにしても少しくらい対処してもらわなきゃ。そう思って掴んだ腕は離しませんよ。
そうしていると、委員長さんは面倒臭そうに口を開いた。

「…仕方ないね。ただしこれは貸しだから。いつか返してもらうよ。」

「………はあ!?貸しって…ちょっ…!」


それだけ言うと、委員長さんはもう話すことはない、というように歩いて行ってしまった。



とりあえず、委員長さんが出て来たことで、騒ぎはすぐにおさまった。というより、みんな恐怖で固まってた。
さすが風紀委員長さま、てか。悪い意味でね?
借りってのは気になるけど、まあ……委員長さんがなんか言ってきても無視してやろう。だって俺借りなんて承諾してないもん。

そんなこんなでやったらハプニングの多い体育祭も無事……ではないけど終了。
おかたづけが大変そうですね、はあ………。

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