2.風間蒼也と私と医師。
本部内での医務室に連れてこられたみょうじ。
「……。」
「みょうじ、寝ろ。」
ベッドに寝かせ、うっすらと目を開けるみょうじに言い、
みょうじは少しだけうなずき目を閉じた。
「相変わらず、みょうじさんは風間くんの言うことに対して正直ね。」
医務室の医師がその様子を見てクスクス笑う。
「こういうときだけです。こいつが言うこと聞くのは。」
風間はみょうじにふとんをかけてあげながら言った。
「またケンカしたの?」
「…。」
「風間くん、いっつもそんな言い合ってさー。みょうじさん、そのたびに大声出し過ぎちゃって疲れてるじゃない。」
「…反省してます。」
「あら、正直。」
「…。」
「みょうじさんが心配なんでしょ?」
「…。」
「心配なのは分かるけど。ケンカしちゃだめじゃない。」
「分かってはいるんですが…。」
「つい言い争っちゃうの?」
「…はい。」
医務室の医師はため息をつく。
「側にいても守れないなら駄目。離れなさい。」
「……。」
「どうせ嫌なんでしょ。この心配性。」
「俺は、何があっても守ります。」
「でもあなたが守れないときもあるでしょ?」
「…。」
「ほんと、あなたも重症ねぇ。」
「…。」
「もっと素直になりなさいな。なれないんだったら守っちゃ駄目。他の人に任せなさい。」
「…。」
「どうせ譲るつもりなんてないんでしょうけど。せいぜい頑張りな。」
「…はい。」
「でもこれ以上、みょうじさんを傷つけちゃ駄目よ。この子は貴重な優秀研究員であり、可愛い子なんだから。」
「分かっています。」
「…どうだかねぇ。」
俺はちらりとみょうじを見た。
スヤスヤと眠っている。
まだ少し顔色は良くないが、呼吸は安定している。
俺がこいつを困らせてどうする…。
心の中で自己嫌悪にひたる。
変なプライドが邪魔をする。はき出せば楽になってしまうのに。
それが恐ろしく感じてしまう。
風間はベッドのそばに行った。
みょうじの頬を優しく触る。
守らせてくれ。嫌われてもいいから。
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