一日目













新しい携帯。

銀色でカッコイイクールな携帯。

何でも、物を新しくすると気分が上がるものだ。

ついすぐに試したくなるのが私。

そして説明書も見ないのも私。

こんなん余裕っしょ。


そして私は一回。瞬きした。




「…。」

「よ」

「…。」

「オィィィィ!落ち着けェェェェェ!」

私は近くにあったハサミを銀髪の人に向けた。

あれ。さっきまでこんな人いたっけ?

しかも何この人。銀髪やんけ。

初めてみたんだけど。

「よーし。落ち着け。」

「この状況でこうするのが普通だと思いますけど変態さん。」

「間違えるな!俺は変態じゃねェ!」

銀髪の人は、「落ち着け」と連呼する。

「何言ってんの。乙女の部屋に入り込んで。」

「いやいやいや、乙女じゃなオィィィィ!包丁しまえ!危ねェ!」

私はとっさにはさみと包丁を銀髪の人に向ける。

「警察呼びますよ。それか死ね。」

「ったく。女の子がそんな言葉言うもんじゃねェーぞ?」

銀髪の人(以下変態)はやれやれと言う。

なんだコイツ。

「いいから出て行ってください。」

「いいから待ちなさい。俺はお前の携帯だっての。」

「うっせーつまらない嘘付くんじゃねぇよ変態。」

「ちょっとォォォ!俺変態じゃないからァァ!」

「…」



…!

確かに私の手元にあった携帯がない。

「アンタ携帯とった!?」

「取ってねェーよ!だから俺つってんだろーが!」

「ふざけんな!渡辺謙じゃあるまい!」

「俺ー!それ俺ー!」

「はぁ!?」

私は瞬きを一回した。

「!」


……いない。

そして私の手もとには銀色の携帯。

『ほーら。その手元にあるの俺。』



どこからか声が聞こえた気がした。

そしてもう一回、瞬きをした。

「!」

「だろ?それ俺なの。」

「…」


信じられない。

携帯がガチで人間になっちゃうなんて…。

「ほんとに…?」

「ほんとだっつーの。」

「…私は本物の携帯に触りたいの。」

「俺に触れよ。」

「うっせー変態。」

「ちょ!傷つく!銀さん傷つくぅ!」

「…銀さん…?」

「そう。俺銀時って名前あるから。銀さんって呼んで。」

「銀さん。」

「…。」

「…?」

私が銀さん、と呼んだら銀さんは黙った。

「…。」

「…銀さん?」

「!」

ハッとして銀さんは私を見た。

「どうしたの。」

「いや…」

「…」

そう言って銀さんは少し頬を赤く染めた。


「何かお前に名前呼ばれたらすっげーテンション上がった。」

「…!」

私はその言葉を聞いて体温が上昇した。

少し照れながら言う銀さんに惹かれてしまった。

「…じゃあ押せ。」

「なにを?」

「電源ボタン。」

「どこだよそんなもん。」

「俺の唇。」

「!!」

それは…つまり…。

「俺にチューしなさい。」

「無理無理!」

私は顔が真っ赤になるのを感じた。

なななななぜェェ!

「ほら早く。」

「も、もとの携帯に戻って!」

「はー?やだ。」

「なんで!」

銀さんはこちらを見つめる。

私はそんな銀さんにドキドキする。

「携帯触りたいんだろ?」

「アンタは携帯じゃない!」

「じゃあ何?」

「…!」


じゃ、じゃあ…

「普通の男の人?」

「正解。」


そうして私の唇を奪われた。




 
 



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