三日目
「おい。」
……何か…誰かいる?
「おい。」
……誰だろう。
「起きろ!!!!!」
「っっあああ!?」
私は誰かのでかい声に飛び起きた。
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「……あぁ…土方くん。」
私はぼーーっとして土方くんを見る。
「ったく…おめぇ起きねぇな。何度起こしたんだが。」
「だって…眠いし……………ぐう。」
「寝るな!」
私は思いっきりどつかれた。
「いったいな……変態phone。」
私は頭をさすりながらベッドから立ち上がる。
朝はそんなに機嫌よくない。
「何発音よく言ってんだコラ。
…………ほら。さっさと顔洗ってこい。」
「へいへい。」
なんかお母さんみたい。
私はゆっくりと洗面所に向かった。
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私は洗面所の前でバッチリ整えた。
一人暮らしにちょうどいい狭さが好きだ。
「よっし。今日も頑張ろ。」
そう鏡の中の自分に気合いを入れて、自室に戻った。
「おっせーな…。」
土方くんはソファーで寝っ転がってる。
何様だよ。
そして死ね。
「悪かったね。」
私は色々準備しながらテキトーに返事する。
だって忙しいし。
化粧ポーチをバッグに入れたり、入れる物を一つずつ確認しながら入れていく。
「…別に謝んなくてもいいけどよ。」
そうボソっと土方くんは言った。
「ほら。アンタも携帯でしょ?さっさと携帯になってバッグの中入ってよ。」
「あ?俺はこのまま行く?」
「は????」
なんで。
バッグの中入った方が楽っしょ。
「まぁ…別に意味はそんなねぇけど。」
「え??だってバッグの中入ってたほうが楽じゃね?」
「っ!?……別にいいだろ。運動だ、運動!!」
「…あっそう…。」
携帯が運動とか。意味あるの?
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街を歩く。
すれ違う人々は慌ただしく早歩きで歩いている。
私もそのうちの一人。
「さわがしい街だなぁ。肩が当たっても謝らねーしよ。」
「アンタは田舎からやってきた人か。」
「前に俺を使ってたヤツの家の周りは田んぼが多かったからな。」
「…へーー。」
前に使ってた人がいるんだ。
何だか腹立つな。え。何で?
「何だ?気になるか?」
土方くんがニヤニヤしながら私を見た。
いじわるな顔だ。背の低い私を完全に見下ろしてる。
「携帯のクセに生意気。」
私はプイッと目をそらした。
「はっ。まあな。」
そう言って前を向いて歩く。
携帯のクセに。
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「仕事は。何時まで?」
土方くんは仕事の前に着いた時言った。
「六時くらい。」
「っそう。じゃ、俺戻るわ。」
「あそう。バイバイ。」
「なんだ素っ気ねェな。」
「バイバイ。」
「…………………………………………。」
土方くんは眉間にしわを寄せて私を見た。
な、なによ。
ーーーーーぎゅう
「っ!?」
土方くんが少し強く私の片腕を引っ張り、自分の胸まで抱き寄せた。
「じゃあな。」
もう片方の手で私の頭をぽんっと叩いて消えた。
「〜〜〜〜〜〜〜!」
私のトキメキ……かえせっ!
続く。
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