どんな状況でも甘い雰囲気にするのねってお話  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ※「二次小説を書こう」で制限時間15分+手直し、お題「怪しい月」必須単語「ナン」の条件で書いたもの ※ラッド様とカレー食べてるだけ いったいどういう経緯を経てこうなったんだろう。クロムウェル家の夕飯は、ラッド様がこの前食べて気に入ったとかでカレーパーティー。本格的にナンまで用意されてる。 まぁ、おいしい。おいしいのだけども……。 「おいしいかい?」 「はい、とっても」 夕飯の支度をしてくれたハルさんは、リュカと用事があるとかで退出してしまった。なので、今晩はラッド様と二人きり。お互いの気持ちを知って、ただの兄妹という関係ではなくなって、久しぶりに二人きりなのだ。カレーも美味しいけれど……。 (なんていうか、ムードに欠ける……) 不満を言うのは贅沢だって分かってるけど、もうちょっとこう……。甘い雰囲気になれるかもなんて、それこそ甘い期待が見事に打ち破られて内心ため息をつく。 「あー、レディ。ちょっと良いかな?」 何ですか? と聞き返す前に、ラッド様が席を立って近寄ってくる。すっと綺麗な指が伸びてきて、私の下唇を軽く拭った。 「ついてるよ」 そのままぺろりと指を舐めてこちらを見る。 「う、そ……」 カレーをつけるレディってどうなんだろうとか、なんて恥ずかしいことしてくれたんだろうとか、カレー舐め取っただけなのにこんなにも艶かしい表情をするラッド様ずるいとか。言いたいことがまとまらなくって、次の句も告げないで放心状態の私にラッド様が笑う。 「可愛い妹の考えてることなんて、兄ちゃんには丸分かりだからな」 見透かしたように目を細めて、楽しそうにラッド様が言った? 「さて、レディ」 「なんですか……?」 頬が熱くなっていくのが分かって恥ずかしい。誤魔化しきれないことはもう分かってる。 「君との時間はまだたっぷりと残ってる。俺の可愛い恋人は、このあと何をして欲しいかちゃんと言えるな?」 ラッド様の肩越しにある窓の外。見慣れたはずの月が何とも怪しげに映る。 fin* |