三成さんとデート! ――三成さんと向かった先は、如月家が運営している施設の一つ、そこそこの規模を持つ、屋内スケート場。
何故そんな場所かというと、三成さんが涼しい場所に行きたいと言われたからです。
「ま、待て!夢子っ、まだこの履き物になれないっ」
私は上手くもなく、下手でもないぐらいの腕前だったので、氷の上を一応普通に滑れる。
そのためか、三成さんは眉間にシワを寄せながら壁から私を睨んでいた。
『大丈夫です。なんとなく三成さんなら、大丈夫ですっ』
「何故貴様は何の根拠もなくそう言い切る……っ」
はぁっと、心底呆れたような溜め息を吐き出される三成さん。
白い靄が空中をのぼって、溶け込むように消える。
「……あぁ、わかった。こうだな」
『……え、えぇぇ』
数分後、私は自分の目を疑いました。
いえ、自分が大丈夫ですと言いましたが、まさかこんなに早く、よもやここまで上達されるなんて……
『……運動神経が憎いです』
「……何馬鹿なことを口にしている。ほら、行くぞ」
『……え!』
自然と差し出された手に、私は呆気に取られ口を開けたまま三成さんの顔を見つめた。
穴があきそうなくらい凝視したせいか、三成さんは真っ赤になられ、そしてばつの悪そうな表情をされたあとに、大きく舌打ちされる。
「ちっ!……か、勘違いするなっ?!……こ、ここでは、皆がそうしているようだったから、そうするものだと思っただけだっ!!……貴様がいらぬのであれば、も、もういいっ!!」
最後は少し拗ねられたようなセリフで。
同時に明後日の方向に顔を背けられたので、ついキュンってなりました。
『や、ごめんなさいっ!三成さん、ぜひっ、ぜひ繋いで下さいっ』
「ばっ?!こ、こらっ!急にまとわりつくなっ!!!夢子っ!」
『えへへ、今はなんだか三成さんが怖くないですよー!』
「なっ?!ふ、普段私が怖いといいたいのか?!貴様ぁっ」
『きゃー?!』
憤慨する三成さんから逃げて見ましたが、その後すぐに捕まって。
氷上で後ろから、ギュッと腰に腕を回されて抱きしめられた。
「……もう、私から逃がさぬ」
耳元で囁かれたセリフに、全身から火が出そうになったのは……もう言わずもがな、です。
『……き、菊ちゃーんっっ』
「お、お嬢っ?!どうしたんですか?!一応アタシん中では、石田は安全牌だったんですが?!」
「……おい、菊一。貴様、斬滅されたいのか」
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