官兵衛さんとデート! 『……本当にどこにも行かなくて、良かったんですか?』
「あぁ!寧ろ、他の面子を追い出し、夢子と二人っきりになれただけで小生には幸せだ!」
ハハハっと笑う官兵衛さんを眺めてから、私も小さく微笑んでみた。
嬉しそうに笑われる官兵衛さんが言葉通りに幸せそうだったから。
『……では、先ほど焼いたクッキーと……紅茶、淹れてきますね』
「あ、あぁ」
ソファに腰掛けている官兵衛さんにそう告げて、私は台所に向かった。
いつもなら、賑やかな居間には官兵衛さんしかいなくて。
中庭を台所の小窓から覗いても、誰の姿も映らない。
本当に、官兵衛さんと二人っきりのようです。
『……官兵衛さん?』
居間に戻り、ソファの上でなにやらゴロンゴロンとすごい勢いで転がっていた官兵衛さんに声をかける。
「どわっ?!ななな、なにも、なにもやましいことなど、考えていないぞ!うんっ」
『……くすっ』
思わず吹き出してしまいました。
官兵衛さんは、ポカンと口を開けたまま、大きなハート型のクッションを抱かれた格好でそんな私を見上げる。
『す、すみません。なんだか、官兵衛さんが可愛らしくて』
「うっ?!」
今度は耳まで真っ赤になられて。
本当に、なんだかはしゃぎ方が小学生みたいです。
『……ふふ、そんなに嬉しいんですか。わかっていましたけど』
「な?!え、お前さん、し、小生の気持ちを?!あ、あれ?!小生の心だだ漏れ?!」
『?……えぇ、そりゃあ』
私が微笑めば、官兵衛さんは、今度はもじもじと指を弄ばれる。
私は、一度クッキーなどを乗せたお盆をソファの前のテーブルに乗せてから、官兵衛さんに振り返った。
「よ、よもや、小生の気持ちを受け入れてくれるつもりだったとは……!い、いや、だから、小生と家で二人っきりになることを了承して。ならば、夢子!小生とにゃんにゃ――」
『ふふ、今日だけ手枷外してもらえたんですもんね。本当に良かったですね!』
「――だよなぁ、ぐはっ!」
『え?え?官兵衛さん、どうして、今上着を脱がれたんですか??それに床にキスして……』
よくわからない官兵衛さんの行動もありましたが、DVDを見たりして、まったりと過ごしました。
「ただいま帰りました。お嬢、黒田に何もされていませんか?」
『あ、菊ちゃん!お帰りなさい。官兵衛さんは何も……』
「……夢子はかわすのがうまいんだ。そして小生の不運が重なってな」
「…………うん。もう何も言うな、今夜一杯つき合ってやるよ」
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