家康さんとデート!

「ハハッ、気持ちがいいな!」

『はい!晴れて良かったです!』

家康さんの満面の笑みに、私もつられて笑顔になる。

私の返答に、家康さんはさらに爽やかなオーラを出されました。



ここは自宅である離れから、バスで数分揺られた場所にある森林公園。

小さな湖を囲むように緑を残していて、ジョギングや犬の散歩をする人に好まれています。


その公園にやってきたのは、なんとなく。

家康さんの雰囲気が合いそうだと思ったからで。

今も、緑の芝生の上にレジャーシートを敷いて、そこに腰を下ろした姿がよく似合っている。



「……おぉ!豪勢だな!夢子の手料理が食べれるワシは幸せだ」

『ふふ、ありがとうございます。家康さんに食べていただけて、私も幸せですよー』

いつものように優しいセリフを紡いで下さる家康さんにそう返した。

特に深い意味はなく、ただ正直な気持ちを口にしたつもりだったのですが、家康さんが頬をほんのりと赤く染められて。

思わず私も赤面してしまいました。



「……わ、ワシの為に毎日作って欲しいと言ったら、そなたは困るだろうか?」

妙に落ち着かない沈黙の後、開けたままのお弁当箱を見つめていたら、家康さんが真面目な顔でそう呟くように漏らされて。

『……え?困る、だなんて!私はいつでも、はい、毎日でも作りますよ?!』

勢いよく答えれば、家康さんは困ったように苦笑された。

「……たぶん、夢子が考えている意味とワシの言った意味は違うな。だが、ありがとう」

『え……?』

優しい手つきで頭を撫でられ、私はくせで目を細めながら、僅かに首を傾げた。

意味が、違う?

胸がきゅっと、締め付けられる。



『……家康さん』

「あぁ。……そうだ、湖で皆、小さい舟に乗っていたな。夢子、ワシと一緒に乗ってくれるか?」

言葉を遮られたけれど、満面の笑みを浮かべられたいつもの家康さんにどこか安堵しながら、私は勿論、首を縦に振る。


……さっき、私は一体何を口にしようとしていたのだろう。


抱いた疑問をかき消すように、今はただ、微笑んだ。








『菊ちゃん、ただいまです!』

「ただいま帰ったぞ!ハハハ」

「…………清潔感溢れすぎて、何コメントしたらいいのか」


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