佐助さんとデート!

――人工的な光を、私はそこまで綺麗だと感じたことはなかったのですが、今目の前に広がる都会ならではの夜景には、目眩を覚えるほどで。

そして、色とりどりのネオンを反射したような、そんな佐助さんの瞳に思わず吸い込まれそうな錯覚を覚えました。





『……スパ、ですか?』

「そっ!……まずは夢子ちゃんとまったり癒されたくてねぇ。ほら、俺様、主婦業板に付いてるし」

『確かに』

肩こりがあるような真似をされる佐助さんに即答すれば、がっくりと肩を落とされた。

『じ、冗談ですよ!』

すぐに笑顔でそう言ってみるけれど、佐助さんは遠い目をされたままで。

だから、佐助さんに元気を取り戻して貰おうと、佐助さんの言うことを聞くことにしました。



まずは、水着姿になって、ジャクジーにご一緒させていただいて。

「……あはー、夢子ちゃん、折角だから、俺様の上に座りなよー」

『うぅ、もう、そんなこというと……きゃ!』

「今日は俺様とのデートだから、ね?」

問答無用で、佐助さんの膝の上。

ぎゅうっと抱き締められて、すごく恥ずかしかったです。





さすがにマッサージを受けている間は、佐助さんも静かで。

ただ、私が足の裏をマッサージされた時に悶えたりしたのが面白かったらしく、ふるふると声に出さずとも、佐助さんの肩が震えていたのを見ました。

うぅ、足の裏はくすぐったかったんですもん!





『……うわぁ』

そして今は、高層ビルの最上階。

キラキラと輝く灯りに目を奪われていました。

「……あ、喜んでくれたっぽい」

『は、はい!もちろんです。お料理も美味しいですし……、でもわざわざホテルの客室を借りられるなんて』

そうなんです。

私と佐助さんが、夜景を眺めながら食事しているのは、高級レストランとかではなく、ホテルのスイートルーム。

だから、食事はもちろんルームサービスで。


私のセリフを聞いて、佐助さんは目を細めると、客室の大きなベッドに腰をかけられた。


「……だって、夢子ちゃんと一泊しようと思ってるからねー。あはー、ダメ?」

『……っ』

びっくりしました。

瞬間的に、ダメ?の部分だけ耳元で囁かれたから。

この佐助さんの移動の早さにはいつも驚いて……ではなくて!


『と、泊まるつもりだったんですか?!……きゃっ』

トスン……と

気づいた頃には、私はベッドの上に身体を沈めていた。

いえ、佐助さんの仕業なのは、すぐにわかることですが。


「……嫌?」

間近まで迫ってきた佐助さんの綺麗に整った顔にドキリと胸が音を立てる。

押し倒されている状況に焦りながらも、可愛らしく、どこか妖艶な佐助さんの表情と口調に、もうクラクラして。

『さ、佐助さ――』
「ん、夢子ちゃん、大好きだよ……?ちゅ……」

塞がれた唇に、つい瞼を閉じてしまいました。

しかも、何故か、佐助さんの舌が絡まるたびに、フワフワと気持ちよくて……っ!

わ、私、一体……!









「……はい、そーこーまーでー」

「えー……」

「えー、じゃねぇよ!この発情期忍っ!!」

「……ちっ」

「……殺すよ?忍クン」

(……き、菊ちゃんが来てくれなかったら、私……!あ、危うく雰囲気に流されてしまうところでした!)


(……折角、夢子ちゃんの料理にお酒使ってもらってたのに)


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