慶次さんとデート! 「お。あれ、夢子ちゃんに似合いそうだよね?」
こうやって慶次さんが指さされた洋服は、これで何着目でしょうか。
慶次さんがそう言うということは、私に試着してみてと仰られていると同じなのです。
『け、慶次さん……』
「夢子ちゃん、お願い!」
ぱんっと掌を合わされて頭を下げられた。
『も、もう。これで最後ですからねっ』
「やった!」
無邪気そうな笑顔に目眩がしそうです。
確か数分前も同じやりとりをしたような……。
はぁっと溜め息をついてから、試着室へと足を進める。
鏡に映った私は、苦笑を浮かべていました。
『……いただきますっ』
慶次さんとどこに出掛けようか迷った私は、結局ウィンドウショッピングという形を選び、慶次さんの試着攻撃には驚きましたが、色々な服を楽しんだ。
慶次さんは終始ニコニコしていて、私がイチゴパフェを食べているのを、今も見つめられている。
慶次さんの頼んだチョコレートパフェも美味しそうなのな召し上がらないのかなと思って、首を傾げたら、不意に慶次さんの顔が近付いてきて、唇の端をペロリと舐められました。
え、えぇ?!
『な、ななな』
「あはは!顔、真っ赤だよ?夢子ちゃん」
『あ、当たり前ですっ』
私が慌てているのがそんなに面白いのでしょうか?
慶次さんはからからと笑われると、ご自身のパフェを頬張り始められます。
『……うぅ』
「はは、夢子ちゃんに睨まれても怖くないよ?寧ろ……余計可愛い」
『うぐっ!』
けほけほと、私は喉を詰まらせて噎せました。
け、慶次さんは何を言い出されるのでしょう。
「……本当に可愛いねぇ。それに、とても……甘い。だから、いつかは全部食べさせて、ね?」
一層目を細められて、囁かれた慶次さんは……どこか、意地悪でした。
『ただいまです、菊ちゃん……』
「おかえりなさいー!って、お嬢、なんですか!このぬいぐるみはっ?!」
『……帰り道で寄ったゲームセンターで慶次さんが』
「あはは!楽しかったねぇ。夢子ちゃん」
「……一体なんぼ使ったんだよ」
「さぁ?あ、ぷりくらってのも撮ったよー」
「なっ?!」
『きゃあっ!ダメです、慶次さんっ、プリクラは内緒で……!』
「えぇ?せっかく衣装着たのに」
「お、お嬢っ?!何の衣装を着られたんですか?!」
『……ち、チアリーダーと巫女さんを』
「ぐはっ」
『?!菊ちゃん?!は、鼻血ーっ!!』
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