12/13
「最近、蔵リンのこと避けやんようになったんやねぇ」
「恐怖消えたんか?」
小春お姉様と一氏さんの台詞に、小さくコクリと頷いた。
最初は毒手からのエクスタシーで暫くえくすたしらいしーさんは怖い人ランキング1位をかっさらっていたけど、テーマパークで遊んだ頃から、妹想いの優しいお兄ちゃんなのでは……とほんのりとイメージが塗り替えられた為である。
「白石さん、跡部様や不二さんや佐伯さんと同じ超イケメンですし」
「あ?男は顔ちゃうぞ」
一氏さんがコツンっと私の額を叩いた。痛いようで痛くなかった。
「アタシもねぇ、蔵リンはめっちゃかっこいいと思うんよ〜顔だけやのうてめっちゃ優しいしなぁ」
「小春ぅ!浮気か!!」
「そうですねぇ。すごく優しいですよね。それは……本当に……」
そこまで小春お姉様に同意してからはたと視線を後ろに向けたら、いつの間にか白石さんが立っていて。
顔を片手で覆いながら赤くなってた。
「イヤン☆女子の秘密の会話立ち聞きしちゃあかんよぉ!」
一氏さんの立ち位置とは。
と思いつつ、ちょっと褒めまくってしまったので、私もまともに白石さんを見れないまま、顔に熱が上がるのがわかった。
「ここで部長プチ情報ー」
突然部屋に入ってきた光くんが低いテンションのまま声を上げる。
「白石部長は寝る時全裸なんすわ」
俺の家無理やり泊まりに来た時も、ほら。と上半身裸の白石さんがシーツにくるまっている写真を見せられた。
「…………いいんじゃ、ないですか、ね」
「待って!めっちゃ引いてない?!」
「良かったな、白石。アイツのお前を見る目、珍獣を発見したとかレベル超えとるで。つまりお前はUMA(※未確認動物)にレベルアップしたんや」
「……ユウジ。1回シバいてええか?」
12/13