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「神尾くん神尾くん」
「……」
「……ちょっとそこのリズムの人ぉっ!!」
「っ、うわぁ?!な、なんだよ!お前かよ」
ヘッドホンで音楽を聞いていたら、いきなりすぐそばで大声を出されたからかなり焦った。
振り向いたらアイツがいて、思わず「あ、馬鹿だ」と口から漏れる。
「ま、また馬鹿って言った?!」
「お前もさっきリズムの人つっただろ」
「神尾くんって呼んでも気づかなかったじゃないか!」
わぁわぁと口喧嘩みたいになっていく。
コイツと顔を見合わせたらいつもこんな感じになるなぁと思っていたら、いきなり頭にカチューシャを付けられそうになった。よく見たら猫耳カチューシャである。
「な、何すんだよ?!馬鹿」
「馬鹿って言った方が馬鹿なんだからねっ馬鹿ーっそれから大人しく猫耳つけるんだ!」
「ばっかじゃね?!つか、猫耳意味わかんねぇよ!!やっぱ馬鹿!バーカ!!」
「きぃぃいっ!神尾くんが妖怪と会話できるって若くんに言ってやるっ!」
「あっ、それ深司のヤツだろ?!つかなんで日吉が……え!日吉ってそういうの好きなのか?!」
取り敢えず、後から思い返せばよくわかんねぇやり取りだった。
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